観劇記録を綴っていたら、途中から忘れられない出来事の方が気になってきた
書いておこうと思う
当日は3階席で観ていたのだが高校生の団体が観劇に来ていた
私の前の席には上背のある生徒が座っていて
これは舞台が見切れるな、アンラッキーだなぁと覚悟したのだけれど
その子にとってはどうやら歌舞伎は退屈のようで
おそらく座席も窮屈だろうし
もぞもぞと動き続け、時に隣の生徒に何やら呟いたりしていた
そのたびに私も左右に首を傾けなければならなかったし
休憩になったら注意しようかなと考えていた
きっと私の後ろの人も見づらかったことだろう
最初の演目が終わって休憩になった
その途端、私の隣の席の人が大声で文句を言い始めた
同じ列にいる先生らしい人に向かって言っているようだったが
かなり感情的で
「あの子が動いてばかりいるからイライラして、もう! なんなの!」
「興味がないんだったら外に出しなさい!」と止まらない
さすがに自分のことだと自覚したのだろう
私の前の席の生徒が立ち上がって振り向き、頭を下げて謝った
しかし隣の人は収まらないどころか
「本気で謝ってない! 興味ないなら外に出なさい!」と決めつけた上に激しさを増す
イライラしたのはわかる
その人も楽しみにしていた舞台だろう
私だって、大きく動かれると「ああっ」と内心で呻いたよ
しかし、ちゃんと謝ったのだから、そこで終わりのはずだ
誰に即されたわけでもなく、自発的に頭を下げたのだ
思わず割って入ろうと思ったが
火に油を注いでしまう懸念がよぎって黙ってしまった
何とも後味が悪い
まだ高校生だよ
おそらく初めての観劇で
おそらく授業だから仕方なく来ていたのかもしれないから
自分が動くことで後ろに迷惑がかかるとは考え及ばなくても仕方ない
注意すればいいだけの話だ
いきなりの罵声に驚いただろうし、緊張もしただろうけど
「すみませんでした。申し訳ありませんでした」と自発的に頭を下げたのだ
大人がこの姿勢を認めなければ、子どもはせっかくの成長の機会を逸してしまうし
謝ってもなお怒声を浴びたことは「劇場」という場所と共に嫌な体験として記憶に残る
残念なことだ
きちんと注意すれば済む話だよ
大人は子どもに必要なことを教えることができるはずで
それは自分の怒りをぶつけることとはまったく違う
謝っているのに「本気じゃない」と決めつけるのはフェアじゃないし
自分の気分で人を罵倒してもいいと教えているようなものだ
嘆かわしいのは大人の方だ
