Histoires des Beaux Arts
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受胎告知 7

受胎告知,ペルジーノ ちょうど、ペルジーノの受胎告知が日本に来ているので紹介しよう。
幅37cmの小品だが、その明るい色彩や、床の模様の遠近法に確かにペルジーノらしさが見て取れる。

また、聖母マリアたちのいる場所は低い塀で囲まれているが、この閉じられた庭も聖母マリアの純潔を暗示している。

ペルジーノ展

損保ジャパン東郷青児美術館
で開催中のペルジーノ展に行ってきた。

平日の空いている時間を見計らったとはいえ、来訪者は五十人にも満たず、西美のルネサンスの版画展と比べてもさらに閑散としていた。

展示方法は最近の傾向に沿ったもので、解説がかなり充実していた。図像的な説明が豊富であるし、参考作品もパネルで紹介されている。
また、中世から初期ルネサンスの絵画によく見られる画中のラテン語も解説されているなど、これまで見た中でもトップクラスの内容である。

日本では中々ペルジーノの作品をまとめてみる機会はないと思うので、あらためて、展覧会情報を掲載しておこう。

甘美なる聖母の画家
 ペルジーノ展
 ~ラファエロが師と仰いだ神のごとき人~
損保ジャパン東郷青児美術館
2007/4/21(土)~2007/7/1(日)

展覧会の予定 @LONDON

日本ではないが、ロンドンのバッキンガム宮殿で興味深い展覧会が開かれている。

The Art of Italy in the Royal Collection: Renaissance and Baroque
The Queen's Gallery, Buckingham Palace
30 March 2007 - 20 January 2008

公式サイト によると、この四十年来初となる王室コレクションのイタリア美術作品の展覧会で、国中の宮殿や居所から90点の絵画と85点のデッサンなどを集めたものとある。

関係のない話ではあるが、こういうときに驚かされるのは、「国中の宮殿や居所から」という部分だ。そんなにたくさんのところにルネサンスバロックの作品を秘蔵しているのかと思ってしまう。

それはさておき、この展覧会に向けて調査した結果、なんとCaravaggioの真作が見つかったという。Caravaggioの失われた原作のコピーだと思われていたものが、どうやらCaravaggio自身の手によるものだと判明したらしい。
このあたりの詳しい説明も公式サイト にある。

受胎告知 6

受胎告知の作品をいくつか挙げてきたが、今回は少し変わったものを紹介しよう。 受胎告知,シャルトル


これは別項で何度も取り上げているシャルトルノートル・ダム寺院の内陣にある彫刻からだ。
ここの彫刻を端から端まですべてゆっくりと見たことはなく、写真も一部しかないのだが、幸いにも受胎告知は撮影してあった。


お決まりのマリアガブリエル、それから百合の花は確認できるが、果たして、鳩はどこかに表現されているのだろうか。

イーゼンハイム祭壇画

グリュネヴァルト,磔刑 せっかくなので、『イーゼンハイム祭壇画』の画像も何点か紹介しておこう。
まずはメインとも言える磔形図からである。


ところで、キリスト磔形図では、十字架の上の方に INRI という文字が書かれていることが多い。
これは「ナザレのイエス、ユダヤの王」という意味で、ラテン語で Iesus Nazarenus Rex Iudaeorum の頭文字を取ったもの。


Iesus イエス
Nazarenu ナザレの

Rex 王

Iudaeorum ユダヤの


ラテン語には本来 j の字母はなく、i は j にも該当すると言える。そうすると、Iesus というのは Jesus のことであり、何となく現代語の表記に近づいてくるのではないだろうか。

受胎告知 5

グリュネヴァルト,受胎告知 フランスのコルマールという町にウンターリンデン美術館があり――この名前からも分かるとおり、アルザス地方になる――、ここにかの有名な『イーゼンハイム祭壇画』がある。
ドイツ・ルネサンスを代表する画家グルーネヴァルトの代表作でもある。

グルーネヴァルト救済思想を端的に表現しているとも言われる『イーゼンハイム祭壇画』は、単独で取り上げて考察するだけの価値がある作品ではあるが、その内側のパネルの一枚に『受胎告知』が描かれている。

これまで紹介した図像のほとんどは大天使ガブリエルがひざまずいて聖母マリアよりも低い姿勢をとっており、これは聖母に対する天使の謙譲を表現していると言われる。しかし、グルーネヴァルト大天使ガブリエルが高みから降りてきたところを描いており、同じ構図がここまでに紹介した中では最も新しいエル・グレコでも見られるのが興味深い。

なお、画像は『受胎告知』の部分である。

受胎告知 4

受胎告知の重要な要素は次の三点である。
ダ・ヴィンチ,受胎告知
1. 聖母マリア
2. 大天使ガブリエル
3.

このうち、マリアガブリエルは物語の登場人物なのだから当然であるが、が分かりづらいかもしれない。
これは聖霊を表しているのである。もっとも、は描かれていないこともあるが。

この三つ以外に見られる要素として、代表的なものは、百合書物である。
純白の花である百合は純血の象徴として、マリアとともに描かれることの多いアトリビュートであり、一方、書物の方は受胎告知の直前、マリアは『イザヤ書』を読んでいたとされるからである。

今回あげる画像は説明不要のレオナルド・ダ・ヴィンチである。

受胎告知 3

受胎告知の物語のあらましは以下の通り。

ナザレのガリラヤにいる乙女マリアのところに大天使ガブリエルが遣わされ、マリアに「主がともにいる」ことを告げる。
この言葉の意味にとまどうマリアに対して、大天使ガブリエルは神からの恵みで身籠もったので、生まれてくる男の子をイエスと名付けるようにと言う。
乙女マリアは自分は男の人を知らないのにどうしてと訝しがるが、聖霊が下って身籠もったので、生まれる子は神の子と呼ばれると告げる。
マリアはそれを受け入れ、自分は主のはしためであると言い、大天使ガブリエルは去ってゆく。
おおよその流れは上記の通りで、主な出典はルカ福音書一章26-38節である。

ムリーリョ,受胎告知
画像も追加しておこう。スペインのバロック画家ムリーリョである。
ムリーリョの『受胎告知』といえば、プラド所蔵のものが有名であるが、今回はエルミタージュ美術館のものである。
二つの『受胎告知』はおおよその構図が一致しているが、エルミタージュの方がややサイズが大きく、天使の数も多く、鳩の放つ光を始めとした全体の色調も鮮やかで、より劇的な場面となっている。

受胎告知 2

ボッティチェリ,受胎告知 受胎告知の図像的な説明は後回しにして、まずは作品をいくつかリストアップしてゆくことにしよう。


大原美術館エル・グレコの次は、ウッフィツィ美術館所蔵サンドロ・ボッティチェリの『受胎告知』である。


ヴィーナスの誕生』と同時期に行われた修復のおかげで甦った、聖母マリアの衣装の鮮やかな青と赤が印象的な作品であるが、二人の登場人物が同じ奥行きに位置するこの作品と比較すれば、エル・グレコのそれは空間が捻れていることがよく分かるであろう。

受胎告知 1

エル・グレコ,受胎告知 最初に取り上げるテーマは『受胎告知

国立博物館で開催されているレオナルド・ダ・ヴィンチ展の目玉が、正にウッフィツィの『受胎告知』であり、異例とも言えるほどの観客で賑わっているそうだ。

しかし、日本を代表する『受胎告知』と言えば、倉敷の大原美術館所蔵のエル・グレコの『受胎告知』であろう。
漆黒の闇に浮かぶかのような鮮やかな色彩の登場人物達の、異様に引き延ばされた身体と捻れた姿勢。
ほとんど唯一と言ってもいいであろう、日本で見れるマニエリスムの傑作である。

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