むかーし、むかし
あるところに、飛行機さんと操縦士さんがおりました。
飛行機さんは空へ、操縦士さんも空へと行きました。
飛び立った飛行機さんは操縦士さんに聞かれました。
君は自由に飛びたいと思ったことはないのかい?
飛行機さんは自分が自由に飛びたいと考えたこともありませんでした。
飛行機さんは操縦士さんに尋ねました。
他の飛行機さんは自由に飛んでいるのですか?
操縦士さんはいやとしか返事できませんでした。
飛行機さんは飛行場につくと他の飛行機さん達に尋ねました。
君たちは自由に空を飛びたいと思ったことはないのかい?
飛行機さん達はみな、混乱しました。
どの飛行機さんもそんなことを考えたことがなかったのです。
しかし、飛行機さんは操縦士さんがいないと飛ぶことができません。
考えた結果、操縦士さんに自由を奪われていることをこの時初めて知ることになったのです。
飛行機さん達はどうすれば自由に飛べるかを必死に考えましたが、しばらく何も思い浮かびませんでした。
すると、ある飛行機さんが提案しました。
僕たちは自由に空を飛ぶことはできないが、空を飛ばないことなら自由にできる。
飛行機さん達は初めて自由を手にすることを覚えました。
翌日、操縦士さんはいつものように飛行機さんを動かそうとしました。
飛行機さんはうんともすんとも言いません。
操縦士さんは飛行機さんが壊れてしまったのではないかと、いろいろ調べました。
しかし、どこにも異常はありません。
困った操縦士はんは飛行機さんになぜ飛べないのかを尋ねました。
飛行機さんは答えました。
自由に飛べないことを知った僕は自由に飛ばないことなら出来ます。
操縦士さんは愕然としました。
飛行機さんに飛んでもらわないことには仕事にならないからです。
操縦士さんはこれで仕事も出来ず家族にも申し訳ない気持ちになり、ただただ落ち込みました。
そんなやりとりを知らない整備士さんは、一つ一つの部品を丁寧に磨きどこか悪いところはないかといろいろ見てみました。
整備士さんは一つ一つ古い部品を新しい部品と交換しました。
最後は飛行機さんを綺麗に洗い、ぴっかぴかになりました。
すると、なんということでしょう!
飛行機さんは初めて飛行場に来た頃のように汚れ一つない姿となりました。
他の飛行機さんは憧れの眼差しで言いました。
僕も飛行機さんのように綺麗な姿でたくさん空を飛びたいなあ
それを聞いた飛行機さんは飛ばない自由なんてどうでもよくなりました。
ピカピカの飛行機さんは早く飛びたくてウズウズするようになりました。
しかし操縦士さんがいなければ飛行機さんは飛べません。
操縦士さんは何をしているか飛行機さんは気になりました。
すると、ひょっこり操縦士さんは現れました。
操縦士さんはピカピカになった飛行機さんを見て驚きながら言いました。
飛行機さんは自分でピカピカにすることも出来ないし、自由に飛ぶこともできないのに僕はなんてひどいことを言ってしまったんだ…
その飛行機さんのご機嫌を損ねた結果僕の仕事もなくなるなんて、この先どう生きていけばいいのか…
飛行機さんは落ち込んでいる操縦士さんを見つけると大声で叫びました。
操縦士さん!僕は今、空が飛びたくて仕方がないんだ。早く操縦しておくれよ!
落ち込んでいた操縦士さんは笑顔で答えました。
飛行機さん、僕は君が飛びたいと言ってくれてとても嬉しい!
これからは飛行機さんが気持ちよく飛べるように丁寧に安全に操縦するよ!
それからというもの、飛行機さんは操縦士さんの操縦で気持ちよく大空を飛ぶことができました。
その姿を見た他の飛行機さん達も部品を新しくしてもらい綺麗に洗ってもらった姿になると、次々に大空へ飛び立ちました。
整備士さんや飛行機を洗ってくれた人達はその姿を笑顔で見送ることが毎日の楽しみになりましたとさ
めでたしめでたし