ばあちゃんの夢を見た。
ばあちゃんは一人でテレビを見ていた。
生前、よく見た姿だ。
ばあちゃんは水戸黄門と五木ひろしが
大好きだったっけ。

その背中に話しかけてみる。
「ばあちゃん、しあわせー?」
ばあちゃんが振り向いて笑う。
「うん、しあわせだよー」
誰からも「可愛いおばあちゃん」と言われた笑顔だ。
さらに続けて、
「あんたと一緒にご飯食べてしあわせー」
「お母さんと一緒にご飯食べてしあわせー」
「お兄ちゃんと一緒にご飯食べてしあわせー」
「お父さんと一緒にご飯食べてしあわせー」
・・・生前のばあちゃんからは一度もそんな話は聞いたこと
なかったけど、とても幸せそうだからそうだったのかな、と思う。
「そっかー、それは良かったねえ」
すると、ばあちゃんはちょっと不思議そうに小首をかしげた。
「良かったー、の?」
「うん、良かったでしょー?」
そう繰り返すと、なぜか表情が怒ったものに変わってしまった。
理由がわからず戸惑っていると、
「良かった、じゃないでしょー?」
口調は前と変わらず穏やかなのに、顔はやっぱり怒っている。
「だってそれはね、必要不可欠なこと、なんだからねっ」

・・・気がついたら布団の上だった。
ばあちゃん、良いこと言うなあ、と思った。
そうだね、誰かと一緒にご飯食べて、それを幸せと感じ取れることは
必要なことなのかもしれない。
少なくとも自分自身にとっては必要なことだと思う。

ありがとう、ばあちゃん。あれから20年近くたつけど、
まだ近くにいるのかな。見守っててくれるのかな。
不出来な孫だけど、家族と一緒の食事を幸せって言えるから、
心配しないでね。