こんにちは

田中リサです。

芥川賞チャレンジ、第十七弾

青山七恵　ひとり日和

の感想を書いていきたいと思います。

では、ネタバレあらすじからどうぞ。

主人公、三田知寿はアルバイトを転々としている20歳。

両親は離婚しており、母親と暮らしていたが、私立の高校で国語を教えている母親が交換留学で中国に行くことになり、日本に残るなら自分で稼ぐか大学に行けと言われ、主人公は自分で稼ぐことを選ぶ。

そして、都内に一軒家を持つ71歳の荻野吟子の家を母に紹介され、居候することになる。

吟子さんと知寿の春夏秋冬が描かれる。

『わたしは、いっぱしの人間として、いっぱしの人生を生きてみたい。できるだけ皮膚を厚くして、何があっても耐えていける人間になりたい』

『でも今、ひとりになってみたいという気持ちを無視したら、わたしはいつまでもここに居座って、何も知らないまま一生を終えてしまうかもしれない』

という知寿の言葉

『若いときには、苦労を知るのよ』

という吟子さんの言葉

が印象的でした。

春夏秋冬を通して、若い知寿が恋をして、失恋して、仕事して、吟子さんも恋をして、趣味に勤しんでという日々が軽快に描かれており、心地よい読後感に包まれました。

芥川賞の選評もそこまで割れず、すっと受賞していました。

主人公の知寿の人生の始まりは、この物語が終わってから始まるのだなと感じさせる終わり方でした。

【小説感想】 青山七恵 ひとり日和

【小説感想】青山七恵　ひとり日和