こんにちは、田中リサです

今回は芥川賞チャレンジ、第十四弾

中村文則　土の中の子供

について書いていきたいと思います。

ネタバレあらすじからどうぞ。

主人公は親に捨てられ、遠い親戚に引き取られ、虐待を受け、生きる事に疲れた無気力な青年。

教材のセールスを辞め、現在はタクシー運転手として生計を立てている。

教材のセールスの仕事の人員削減で辞めさせられた、同僚の白湯子とひょんなことから再会し、一緒に暮らしている。

主人公はたまに複数人で喧嘩したり、ものや生き物を高いところから落としたりと鬱屈した行動をする。

それは虐待を受けたことから来ている行動だった。

彼は虐待の末に土に埋められて始末されそうになったのだ。

とある深夜、主人公はタクシー強盗に遭う。

必死に抵抗し、タクシーまで逃げ、一命を取り留めたが、自らカーブにぶつかり事故死しようとした。

その後、自分を捨てた父親が会いたいというのを拒否し、街中に消えていく。

ありえないほどひどい虐待を受けた子供のその後が描かれていて、大人になっても死や恐怖からは逃れられず、生きる気力もごっそりと奪われてしまうんだなと思いました。

芥川賞でも選評がかなり割れていました。

むしろマイナス評価が多かったかも。

題材が題材ですからね。

自分で自分を大切にすること、そう言った思考が奪われてしまうのは恐ろしいことだと思いました。

同時に主人公がいつも恐怖や死を意識して、「なげやりになんとなく」生きているのが悲しいなと思いました。

【小説感想】中村文則 土の中の子供