こんにちは、田中リサです

今日は芥川賞チャレンジ、第十一弾

綿谷りさ　蹴りたい背中

について書いていきたいと思います。

では、ネタバレあらすじから

長いですよ〜

主人公は高校生の長谷川初美。

クラスにあえて溶け込まず、孤独でいようとする。友達は中学時代の友人の絹代だけ。

絹代は初美と一緒にいることもあるが、別グループに入り、主にそっちで過ごしていた。

初美は中学時代に合わない友達と合わない会話を経験し、そんな不毛なことはしたくなく、孤独を選ぶが寂しさを感じていた。

そんな時に自分と同じクラスの余り物のにな川が生物の時間中にOLが読むような女性誌をこっそり読んでいることを発見し、読んでいたページのモデルに会ったことがあると言う。

にな川は初美を自分の部屋に招待し、モデルの佐々木オリビアのファンだと打ち明ける。

にな川の部屋にはオリチャンのグッズが大切にプラケースにしまわれていた。

後日二人は初美がオリチャンと会話した無印に行き、にな川はその席をあらゆる角度からカメラで撮影し、店員に注意されていた。

初美は部活のアップランで怪我したため、にな川の家で休ませて欲しいと言い、彼の部屋へ行く。にな川がオリチャンのラジオを聴いている間に、初美はオリチャンのプラケースを物色し、稚拙で卑猥なオリチャンのコラ画を見つけてそっと拝借する。

むずむずする気持ちが膨らみ、オリチャンのラジオを一心に聞く丸まったにな川の背中を蹴りたいという欲望がむくむく湧いてきて、初美は衝動的ににな川の背中を蹴っていた。

ある日、初美はにな川が風邪をひいたのでお見舞いをしに行った。

にな川が桃を食べて、むいた唇が痛いというので衝動的にその部分を舐めてしまい後悔する。

初美がにな川に対して、恋愛感情を抱いている目つきをにな川は勘違いして、「時々俺のことをケイベツしてる目になる」と言い意外にもオリチャン以外で初美のことを見ていたにな川に初美は驚く。

にな川はオリチャンのライブに初美を誘う。

オリチャンのライブチケットを買うために、風邪をひいたのだという。1人4枚まで買えたので朝の四時からチケットぴあに並んだのに一枚だけ買っていくのは勿体なかったらしい。

初美は絹代も誘って、3人でライブに行くことにした。

初美は当日服装に迷って遅刻し、結局ダサい格好をして行ってしまう。

慌ててライブ会場に滑り込み、開場前に着く初美たち。

にな川はオリチャンのライブをひたすら真剣な顔してみていた。オリチャンの出待ちをして乱暴に人をかき分け、スタッフに阻まれ、落ち込むにな川。

その日、バスが終電でなくなってしまいにな川の家に絹代と泊まることになる。

絹代は初美がにな川のことを好きだと気づいていた。

ひとしきりおしゃべりをして絹代が寝た後、初美はにな川のいるベランダに近づく。

にな川は起きており、オリチャンに近づいていった時に今までで一番遠く感じたという。

そして初美に背を向けてゴロリと寝る。

初美はそんなにな川の背骨に足の親指を押し付ける。

背骨の感触に訝しげにするにな川に何食わぬ顔をして初美がそっぽを向いたところで物語は終わる。

こちらも10年以上ぶりに再読し、やはり面白いなと思いました。

孤独な高校生ならではのあるあるが凝縮されていて、わかるなぁ、若さゆえの傲慢さを19歳で書いた綿谷りささんすごいなぁと思いました。

恋愛して服装迷子になって遅刻した初美の初々しさにうなづきが止まりませんでした。

相手に対する乱暴なまでの恋愛感情を背中を蹴りたいと表現するのは、若さゆえなのかと思いますが、それでもわかりますし伝わります。

筆力と伝えたいことのバランスが取れていて圧倒的でした。ページをめくる手が止まりませんでした。

さすが、芥川賞、史上最年少受賞者。

「勝手にふるえてろ」も青春を拗らせたこじらせ女子の恋愛話で面白いのでまた読み返したいと思いました。

【小説感想】綿谷りさ 蹴りたい背中