僕には翼がある。

だけどそこまで綺麗ではない。

天使と呼べるには程遠い。

僕が目を開けた時、はじめて目にした人は、僕にこう言った。

「貴方は貴方自身を投げ出した。だから、貴方はこれから貴方自身に償わなくてはいけない。」

と。

僕ははじめ何のことか全くわからなかった。

記憶がなかったんだ。

でも、その人が言った言葉を考えに考えて僕が解釈したのはこれなんだ。

「僕は自殺した。だから僕はその罪を自分自身のために償わなくてはいけないのだ。」

と。

それから僕は働いた。

主な仕事は死に逝く魂を無事送り届けること。

僕は何度となく、死を目の当たりにした。

いや、しなくては仕事ができないんだ。

死んでしまう人の中には、最後まで精一杯生きて安らかに眠りにつく人、病気などで苦しみながら亡くなる人、事故で突然何の前触れもなく亡くなる人、罪を償うために亡くなる人、自ら身を投げ出す人。

どんな人もいた。

それを見る度、僕はとても胸が痛かった。

苦しくなった。

まだ下界に未練のある魂までも、仕事だからと送ることもあった。

どうしても聞かない場合は力づくだった。

仕方ない、仕事なんだから。

それに、僕のほうが強いんだから、仕方ないんだ。

それなりのものを与えてもらっているから。

とにかく、苦しいんだ。

ごめんね、と思いながら、魂を送り届けるんだ。



だけどね、ある日、ある女の子に出会ったんだ。

その女の子は僕が担当していた。

もうすぐ病気で亡くなってしまう子。

まだ10歳にも満たない女の子。

昔から身体が弱く、また、難しい病気にかかっているために、自分でもう先が長くないことを悟っている、そんな女の子だった。

その子には僕が見えたらしい。

「どうしたの?天使さん?」

彼女はとても綺麗な目で僕を見てきた。

あぁ、やだな。

無駄な感情なんて抱きたくない。

彼女をつれていけなくなってしまう…。

「僕は、天使なんかじゃないんだよ。」

僕はぽつりとつぶやいた。

自分にでさえ、聞こえるか聞こえないか分からないほどの小さな声で。

でも、その女の子ははっきりと聞き取っていた。

「あなたの目は、すごく悲しそうなの。でも、その悲しそうなのと同じくらい、優しい目もしてるの。」

そう言って、へらっと笑ったんだ。

その次にこう言った。

「あなたが自分を天使じゃないと言っても、その優しそうな目と綺麗な翼をもっているかぎり、私はあなたを天使と呼ぶよ。」

最後まで言わせないで、魂を無理やり狩りとってしまおうかとおもった。

耳をふさぎたくなった。

僕はそんな人じゃない。

自分で自分を捨てた、弱い奴なんだ。

だけど、その思いは日に日に変わっていった。

彼女の死期が近づくにつれて、君の言葉が僕に勇気を与えてくれていたんだ。

はじめはそんな奇麗事、あるわけないって思ってた。

だけど、いくつもの死を、仕事だからと言って見届けてきた、それは間違っている気がしてきたんだ。

はじめあの人が言ったように、自分が、自分自身に償うためだって。

その意味がはっきりと、言葉上、意味上ではなく、分かってきた気がするんだ。

彼女と魂をつれて天へ昇るとき、また君は僕にこんな言葉をくれた。

「私、貴方みたいになれるかなぁ?優しくて、綺麗な、貴方みたいに。」

僕は何も言えなかった。

彼女が門をくぐるとき、僕は言ったよ。

「僕みたいにはなれないけどね。僕にとって、君は天使だよ。ありがとう。」

そうやって笑って言えた。

そしたら彼女も微笑み返してくれて、

「それならいいや。私、ずっと貴方の天使でいさせてね。」

そう言って門をくぐって行った。

自ら自分自身を捨てた僕は通れない門。

これからも僕は今までどおり仕事をこなす。

でも、今までと全く同じではない。

思いが違うんだ。

思い一つで、僕は唯の魂の届け屋ではなく、天使にもなれたんだ。

さぁ、今日もまたひとつ。

どこかで僕は働きつづける。

辛く、苦しいその思いとは裏腹に、小さな幸せも抱きながら。




んーぐだぐだ。

意味はなかったんです。

だからぐだぐだ 笑

とりあえず、みすごしてやってください。

明日は球技大会なんで←関係ない。



おやすみ、あでぃおす!