ずっと観てみたかったのですが、

なかなか機会に恵まれず、

今回ニコニコで一挙されるということで喜んで観ました。

 

「Serial experiments lain」

 

以下、適当に感想です。

 

 

※ネタバレあり

 

 

中学二年生の少女・玲音(レイン)。

平凡な家庭で、少数ながらも友人を持ち、

引っ込み思案なところがありつつも、

ごく普通に生活していた玲音。

しかし、友人の千砂が飛び降り自殺をした日から、

彼女の日常が少しずつ崩壊していく。

死んだ友人からの電子メール。

クラブに現れたという玲音に外見がそっくりの少女。

玲音を監視する黒服の男たち。

様々な異常が起こるなかで、

玲音はネットワーク端末「NAVI」を使い、

仮想世界「ワイヤード」に没入していく。

 

 

 

事前に「哲学的アニメ」と情報を仕入れていたので、

そのつもりで視聴開始しましたが、

実際視聴してみると少し予想とは異なりました。

個人的には哲学というより、

SF、オカルトの側面が強い印象でした。

・・・ただ単に私に哲学の素養がないだけかもしれませんが。

まあ、それはいいとして。

 

しかし、オカルト的知識が多少あった方が

楽しめるのではないかと思いました。

集合的無意識・・・は心理学の分野ですが、

作中での扱われ方はオカルトじみていたと思います。

他にも、人類の進化を促す上位存在(恐らく宇宙人)が

仄めかされていたり、

全ての記憶を記録する「アカシックレコード」を思わせる

台詞があったり、

様々なオカルト要素が盛り込まれていました。

 

作品の主眼は

「現実世界・リアルワールド」と「仮想世界・ワイヤード」の関係、

拡張するワイヤードがリアルワールドを侵食していくとき、

何が起こるか、にありましたが、

ネット黎明期の、仮想世界への不安、恐怖と、相反する憧れや

渇望という、プラスマイナスごちゃまぜになった感覚に、

オカルト要素がうまく噛み合って、

不可思議で不安定な独特の雰囲気を作り出していました。

 

一言で、サイケデリック。

そんな雰囲気に飲み込まれる作品でした。

 

テーマ自体は、今となってはそれほど目新しくはない、

と感じられるかもしれません。

テーマ、ストーリーは・・・

正直、そんなに独自で新鮮とは感じられませんでした。

しかし、制作されたのが約20年前と考えると、

その先見性は恐ろしいと思います。

今だからこそ理解出来る、というものが

いくつもあるのではないでしょうか。

一体、当時はどんな受け止めがなされたのか・・・。

(というか、今でも私にはパソコン関係の用語がさっぱり・・・)

 

哲学・・・についてはよく分かりません。

個人的にはあまり感じなかったかも・・・。

ただ、

人間や社会、世界すらも情報の集積物と見做し、

情報以外を無価値化する見方は面白かったです。

作品のメッセージとしては真逆かもしれませんが・・・。

しかし、人間は「記憶」という「情報」で構成されており、

自己も意識も過去も未来も情報である。

そのため、肉体は捨てても構わないという思想が

繰り返し語られるたびに、

自分の中の「自己」というイメージが解体されていくような

感覚があり、それが不思議に楽しいものでした。

 

一言で、サイケデリック。

そんな感覚に呑まれました。

 

えーと・・・。

あとなんだっけ?

 

ストーリーについては、

詳細な・・・どころか筋道立てた説明が放棄されているため、

よく分からない部分も多いのですが・・・。

最後は・・・あれはどうなったんでしょう?

レインが皆をワイヤードの世界へ連れて行った?

肉体を捨てさせ、ワイヤードでリセット後の世界を生きさせている、

と私は思ったんですが、

ネット上の解説を見ると違っているようです。

その辺りについてはもう少し調べてみようと思います。

 

 

 

そんな感じで。

サイケデリックな雰囲気が堪能できる作品でした。

こういう実験的で挑発的な作品は好きなので、

もっと増えるといいのになあと常々思っています。