「星合の空」

第1話の感想です。

 

 

※ネタバレします。

 

◎「星合の空」

 

第1話 第1話
 
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☆第1話の感想です。

 

なんというか。

素晴らしい1話だな、と思いました・・・。

 

 

強豪とはいえ、女子部に完膚なきまでに敗北させられる

弱小男子ソフトテニス部。

その敗北を悔しがるどころか当然と受け止める部員たち。

さらに生徒会の方針変更で廃部の危機に立たされるも、

即座に廃部後の身の振り方を考えるなど、

全くやる気のない様子。

ただ一人。

部長だけが部の存続のために奮闘する・・・が。

 

という始まりで。

 

王道の

「弱小部が、結果が出ないために廃部の危機に立たされる」

という筋をなぞりながら、

しかし、その合間合間の人物描写、人物の背景描写が、

いちいち琴線に触れてくるというか、凄い。

 

やる気のない部員たちの言動。

女子に敗北しても気にするどころか

「1ポイントは取れるかと思ったのにな」

「相手に手を抜けって言っておけよ」

「勝てるわけないんだよ」

この言い草。

挙句の果てには副部長?が

「この部ではモテないから転部する」と逃亡。

 

うおわああああああ!

腹立つわー!

体育会系の、一致団結して勝利!

やる気のない者は去れ!

が、大っっっっっっ嫌い!!な私でも、

腹の立つこの態度。

 

 

しかし、そのなかでただ一人、

本当にソフトテニス部に対し真剣な部長。

夏の大会で一勝して部を存続させるため、

新入部員を探します。

で、見つけた転校生。

 

この転校生と部長は昔の知り合いらしいのですが・・・。

この二人のやり取りがまた。

 

ソフトテニスなんて興味がないからと断り続ける転校生に、

しつこく入部を迫る部長。

転校生の家庭事情まで調べ、

母子家庭で家事の一切をこなす転校生の負担を一部持つ、

さらに金は自分が出すから心配しなくていいと勧誘。

この勧誘がね。

優しいようで無神経な勧誘が・・・。

部長の必死さ、一生懸命さが伝わると同時に、

彼の問題の一端も見えたようで心に刺さりました。

それに対する転校生の返し。

当然ながら棘のある返しで

「入部するなら金をよこせ」という話になります。

が、

それに対して「月一万!勝ったらもう一万!」と

覚悟のほどを見せる部長。

 

で、一応表面的にはめでたく新入部員ゲットとなるわけです、が。

なんだろう。

心に刺さるよ~。

部長の真っ直ぐな一生懸命さ、一途さ、熱心さが伝わると同時に、

彼の無神経で浅慮な部分も伝わって、

ああああ・・・なんか・・痛い。

分かる・・・気がする・・・。

まだ勧誘場面なのに、心が痛い。

 

 

さらに。

心に刺さるのはこれだけではなくて。

少しだけ垣間見えた部長と転校生の家庭事情。

どちらも家族関係に深刻な問題を抱えているようで、

それがまた不穏な予感で心が痛い・・・。

というより、既に転校生は痛い。

 

 

ああああ・・・・・・。

 

 

こんな感じで。

王道の筋でありつつも、

細部、主に精神面で刺してくる、

流石の一話だと思いました・・・・・・。