「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」
第28話の感想です。
※ネタバレします。
◎「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」
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☆第28話の感想。
まず、
貧血状態極まってしまったボスが、
何故あそこから回復出来たのか。
とか、
敵として初めて正面から?相まみえる時に、
既に瀕死で這いずりながら生きたカエルの生き血を啜る、
そんなラスボス見たことないよ!
とか、
色々と突っ込みたいところはあったのですが。
でも、
今回はあまりテンションを上げる気にはなれません。
まあ・・・ですよね。
視聴前にネットの反応やら色々で、
薄々というより、もうはっきりを察してはいましたが、
それでも実際に観ると予想とは違う感情がある。
アバッキオの死。
あんなにあっさりだとは思わなかった。
本当に、あっけなさすぎる。
ジョルノが「アバッキオともあろうものが」と嘆いていましたが、
本当にそう思いました。
さっきまで普通にそこにいたのに、今はもういない。
その一瞬の喪失の大きさが、
遺された者たちそれぞれの悲しみ方に表れていて、
胸が痛くなりました。
受け入れられないナランチャと、
静かに耐えるミスタと、
冷静に悲しむジョルノと、
悲しみや怒りを押し殺し、
率いていかなければならないブチャラティ。
それぞれの悲しみ、怒り、悔やむ姿が、
とても印象的でした。
しかし。
今回、一番印象に残ったのは、
死後のアバッキオ本人のエピソードでした。
自分が死んだと気付かないまま、
レストランで食事をしているアバッキオ。
そこに一人の警官が現れて、事件の捜査を始める。
割れて飛び散った、瓶の破片の山。
その中から指紋のついたものを見つけたいという。
いつまで掛かるのか、報われるのかも分からない作業。
その姿に、
「もし破片が見つからなかったら」
「もし見つけたとしても犯人が無罪になったら」
「あんたはどう思って、そんな苦労を背負いこんでいるんだ」
と、問いかけるアバッキオ。
ここの一連の流れは、
ひとつひとつの言葉がとても重く、とても心に残りました。
特に、警察官のこの言葉。
「私は結果だけを求めてはいない。
結果だけを求めていると、人は近道をしたがるものだ。
近道したとき、真実を見失うかもしれない。
やる気も次第に失せていく。
大切なのは、真実に向かおうとする意志だと思っている。
向かおうとする意志さえあれば、
たとえ今回は犯人が逃げたとしても
いつかは辿り着くだろう。
向かっているわけだからな。
・・・・・・違うかい?」
涙が出そうな言葉だ。
正直、私は弱く卑屈な捻くれ者なので、
今までの5部の名言や、
キャラ達の生き抜く姿、
信念を貫く強さ、
そういった、はっきりとした輝かしいものたちを、
「かっこいいな」「素敵だな」とは思いつつも、
本当に心に響くということはありませんでした。
いや、かっこいいとか素敵とは素晴らしいとか、
そういうことは思っているんです。
でも、心に響くというのは、
そういうものとは違う引っ掛かりが必要じゃないですか。
今までの5部の輝きと私の間では、
その引っ掛かりが生まれないというか・・・。
しかし、今回のこの言葉は心に沁みました。
いい言葉だな。
「向かっているわけだから」の、さり気ない自然に信じているような
響きがまたいい・・・。
結果を得られる者は多くはないかもしれないけれど、
向かう意志を持つことはいつでも誰でも出来る。
今は出来なくても、いつか出来るかもしれない。
・・・いい言葉だ。
そして、
これはアバッキオを救う言葉だったわけですね。
昔、理想に燃えて警察官になったけれど、結果が得られず、
いつの間にか「向かおうとする意志」を失っていた。
そのせいで仲間に命を失わせてしまった。
でも、
今は。
結果などまるで見えない自殺行為に等しい旅でも、
「真実に向かおうとする意志」を持って進んでいた。
仲間と共に進んでいた。
今、アバッキオ自身としては結果は失われてしまったけれど、
それは仲間たちの手によって、いつか辿り着くかもしれない。
・・・これは泣けるな。
また、この言葉は多分、
ボスの能力にも対比しているんだろうと思います。
過程を飛ばし、結果だけを残すキング・クリムゾン。
自身の栄華という結果のために使われる能力。
それとは真逆のアバッキオやブチャラティ達。
仲間の誰かが欠けても、
その意志は誰かが継いで、
それはいつか求めるものに辿り着くだろう。
ジョジョはこういう物語なところありますよね。
結果が得られない人はいるけれど、
その意志は誰かが継いでいく。
その命は、生き方は、無駄ではない。
・・・今回はそれを強く感じ、また感動しました。
悲しいけれど、いい話だった・・・。