「どろろ」

第1話~第3話の感想を少し。

 

 

※ネタバレします。

 

◎「どろろ」

 

醍醐の巻 醍醐の巻
 
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☆第1話~第3話の感想を少し。

 

戦国時代。

ある国の領主が十二体の鬼神と取引をした。

「治める領地の繁栄と、栄誉を自分に与えるならば、

なんでも望むものを奪っていい」。

取引後、生まれた領主の子供は、

目、耳、口、皮膚等・・・体から多くのものが失われていた。

人とは思えない姿の赤ん坊。

その子供は密かに川に流され、

最初から存在しなかったものとして葬られた。

はずだった。

十数年後?、生き延びた赤ん坊は、

化け物と戦う少年へと成長していた。

 

 

 

原作は未読です。

前のアニメも知りません。

 

そのため、

どこまでが原作通りで、

どこからがアニメオリジナルなのかもわかりません。

 

が。

なんだろう。

個人的には「手塚先生らしさ」を感じたような気がしました。

・・・と、いうほど手塚作品を知らないので

全然違うかもしれません。

そうだったらすみません。

 

なんというか。

舞台が戦国時代だからという理由ではなく、

作品内に流れている価値観や登場するキャラが、

「現在のもの」とは違う。

そう感じました。

 

昔がいい、とか、現在がいい、とかそういう話ではありません。

 

ただ・・・この作品内のキャラや価値観は、

今のものよりも、

もっと汚くて、醜くて、狡くて、逞しくて、しぶとくて、強くて弱い。

生々しい人間の姿が描かれている、と思いました。

 

孤児であるどろろが、子供ながらに窃盗で生計をたて、

それで全く悪びれないところ。

貧した末に、化け物の力を借りて旅人の銭を奪うことが

常態化してしまった村。

 

現在だったら眉を顰められるようなことが平然と描かれ、

それを全否定はしない。

否定はするけれど、

そうせざるを得ない貧しさや、変えられない状況があることを

こちらに匂わせてくる。

 

また、そういった、自力で左右出来ない状況にいたがゆえに

大量に人を殺してしまった過去を持つ男。

ある時を境に贖罪にのみ生きようとし、

多くの人を救うが、

それでも過去の恨みからは決して逃れられない。

助けたものに憎まれる。

その遣る瀬無さ、どうしようもなさ。

しかし、そのどうしようもなさから生まれている、

奇跡のような無償の善意。

 

そういった、人間の醜く矮小な部分と、

そこから生まれることのある、小さな光のようなもの。

 

「現在」の価値観とは違うけれども。

違うからこそ見えてくるものがある。

 

変わったものと

変わらないもの。

現在の良さと

現在の人間が忘れ去ろうとしていること。

 

この作品を観ている間、

そういったことに思いを巡らせられれば

幸せだなあと思います。

 

 

・・・うまくまとまらない。

つまり、私はこれが好き、ってこと。