この間の「超・少年探偵団NEO」第9話の最後。
二十面相が少年探偵団を迎えたのが
赤い部屋でしたが、
あれはきっと乱歩の「赤い部屋」という
短編からきているのだと思い、
内容を忘れていたので読み返しましたが、
ただ楽しく読み返しただけで、
これからの展開などさっぱり推理出来ませんでした。
しってた!
乱歩作品は・・・も・・・あまり読んでいなくて、
いつも自分の無知無学が恥ずかしいですが、
それはそれとして、
「赤い部屋」は面白いと思います。
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人生に退屈しきって、
法律に抵触しない殺人法を考えだし、
全然恨みのない人や、長年の親友を、
偶然を装い工夫した方法で殺人しては
刺激を得ていた人の愉快な話だよ!
面白いよ!
トリックスターの明智君も読めばいいと思うよ!
あ、やっぱり危険だからいいです。
えーと。
それとは関係なく。
夢野久作の「少女地獄」の中の、
姫草ユリ子さんの物語「何んでも無い」を
読み終わりました。
以下、少し感想というか。
ネタバレ上等です。
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看護師としての非凡な腕と、
人を魅了する天性の才能がありながら、
それらを全て凌駕し何もかもぶち壊しにするほどの
圧倒的な虚言癖を併せ持った姫草さんのお話。
途中まで読んで
「悪女素晴らしい・・・
けど、悪女というよりは病んでる人かも」
と思っていましたが、
結果的に、やはり病んでいる人でした。
かといって、別に善人というわけでもなく、
薄汚い面は多分にあったようです。
しかし、それでも彼女に対する印象は
「可哀相な女性」
というものが最後まで残りました。
語り手であり、彼女の嘘の被害者でもある臼杵も、
全ての真相が明らかになり、
彼女の語った何もかもが嘘であり、
彼女の自己中心的な動機や衝動から
自分や家族が大変な迷惑を被ったことを知っても、
なお彼女を恨む気持ちになれないと
告白していましたが、
その気持ちがなんとなく分かりました。
そういった作品でした。
彼女の嘘。
それは他人を傷つけ、
人間関係を混乱させ、
自分をも破滅に導きました。
けれど、
彼女がその嘘にどれほどの覚悟をもって挑み、
何もかもを、自分の人生、命さえ賭け、
それで一体何を守ろうとしていたのか。
何故必死で「妄想の楽園」を守らなければ
ならなかったのか。
それを思うと、どうしても嫌悪感が抱けません。
どうしても「可哀相な女性」という印象しか
出てきません。
人間の置かれた環境のどうしようもなさ。
人間の精神のどうしようもなさ。
そういったものが自然に、
どこか悲哀を持って描かれていて、
私はこの作品が好きだなと、
読み終わって思いました。
なんか・・・うまく言葉に出来ない。
えーと。
最後の方にあるこの文章が特に好きでした。
「 彼女を生かしたのは空想です。
彼女を殺したのも空想です。
ただそれだけです」
本当にただそれだけだったんです。