「有頂天家族」第十話の感想です。



※ネタバレします。



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☆第十話「夷川早雲の暗躍」の感想です。


狸界の頭領・偽右衛門を決める選挙の日。

金曜倶楽部で忘年会が開かれる日。

下鴨総一郎の命日であり、

また、新たな誰かが鍋になるかもしれない日。

「その日」がやってきた。




朝、偽右衛門選挙に出馬する矢一郎を見送り、

それぞれに一日を歩き出した下鴨一家。


母親は矢一郎の祝勝会の準備に。

矢四郎は夷川家での仕事に。

そして、矢三郎は井戸にいる矢二郎の様子を

見に行きます。


少し前、胸に留めていた重苦しい事実を

矢一郎と矢三郎に告白した矢二郎。

その矢二郎に対し、矢三郎がどんな態度で接するか。

また、矢三郎に矢二郎がどんな言葉を発するか。


二人の仲にどうしようもないしこりのようなものが

生まれてしまっていたら嫌だなと恐れていたのですが、

二人とも普通に接していて、とても安堵しました。

事実と気持ちは共有したけれども、

それでも以前と変わらぬような自然な会話。

この兄弟達の、微妙な距離があるようでいて

底に流れる深い絆には、ある種の憧れのような

思いさえ抱きます。

いいなあ、あんな兄弟。


また、少々卑屈で自虐に過ぎるきらいはあるものの、

いや、それがあるからこそ、全てを諦めてしまって

何もかもに達観してしまったような矢二郎の姿と言葉には、

いつも何か安らぎのようなものを感じます。

外界で何が起ころうとも、

ただ井戸の中でじっとしているだけの身。

その諦念が心地よくすら感じられます。

ああ、矢二郎さん、癒されるわ~。

私もただの駄目人間なだけじゃなくて、

井戸の中で宇宙を眺めるカエルになりたいわ・・・。

どうしたらカエルになれるかしら・・・。

あと、井戸も見つけないと・・・。

とかなんとか、よく分からないことを思ってしまいます。


それにしても。

フライドチキンを食べるカエルの図は、

何だかとても衝撃的・・・。

カーネルおじさんも流石に予想外でしょうよ・・・。



・・・なんて。

しみじみと観ていられたのは、

前半だけでした。


後半の。

あれ。


ついに来ましたね。

海星の告白。

下鴨総一郎が鍋になった真相。


あー・・・そうだったのか・・・・・・。

夷川早雲がね。

あと、弁天がね。

あー・・・・・・。


いや、驚きました。

早雲に関しては、いけすかない小悪党系だけど、

あんな大それたことまではしないキャラかと

思っていたので、まさかあそこまでがっつり

やっていたのかと衝撃が。

なんて奴だ・・・。

と思いつつ、しかし、総一郎と早雲の会話を

聞いていると、彼にも何か不憫な思いを

抱いてしまって・・・・・・。


常に出来た兄が側にいて。

好きな雌もあっという間に兄と結婚してしまい、

偽右衛門選挙でも負け、

膨れ上がって捻じ曲がったコンプレックスを

遥か昔から今に至っても抱き続けているのに、

その思いを兄は少しも分かっていないらしい。

「懐かしい」「今思えば可愛い話だ」と、

あっさりと口にする。

ああ、何だか不憫だなあ・・・と。


勿論、総一郎には全く非はないし、

苦しかったからといって早雲がしたことは

許されることではありません。

くたばれ、このクソダヌキが。

と罵りたい気持ちにもなります。


が、それでも、何か不憫だなと思う気持ちが・・・。

早雲だけではなく、総一郎にも。

もし、総一郎がこんなに出来過ぎていなかったなら、

早雲がこんなに捻くれた悪党でなかったら、

もっと仲の良い兄弟がいたのかと思うと・・・・・・。

ああ、不憫だなあ・・・。


そして、矢二郎に「兄弟が離れてはいけない」と

執拗に頑固に言い続けた総一郎の胸中を思うと・・・

ああ、切ないのう・・・・・・。


切ないのう・・・。

切ないのう・・・・・・。


あ、弁天?

あれは別に驚かなかった。

うん。

何かそんな気はしてた。

それで・・・なんか、もしかすると、

あの人、総一郎さんのこと、かなり好きだったんじゃ?

なんて思う。

好きな人食べたいとか言ってたし。

あの人ならそういう狂ったことやりかねん。

いや、やってくれるよね。

是非!是非!!

とか、そういう期待をしている。




・・・そんな感じで。

ついに明かされた真相に、

衝撃と切なさを感じた回でした・・・


が。

そんなことより現状の下鴨一家が大変だ!

矢一郎さんがほかほかのお鍋になってしまう!!

つか、矢三郎よ。

この状況で、その不吉な、

「さよならについてのモノローグ」やめろ!!