「有頂天家族」第八話の感想です。
※ネタバレします。
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☆第八話「父の発つ日」の感想です。
総一郎が鍋になったのは酒のせい。
そして、その夜、酒を一緒に飲んでいたのは、
今は井戸でカエルになっている矢二郎。
つまり、矢二郎が総一郎を死なせたのだ。
そう聞いた矢一郎と矢三郎は、
矢二郎に真相を聞くべく井戸を訪れる。
前回の最後からそのまま引き続きの今回でした。
井戸の底でカエルになっている矢二郎に、
父の死の当日のことを問い詰める矢一郎。
矢二郎は「父上を死なせたのはこの俺だ」と答え、
矢一郎は声を上げてその場に崩れ落ち、
矢三郎は静かに天を仰ぎます。
ここの、兄弟のちょっとした言葉や動きが、
それぞれの心情を逐一説明されるよりも
より雄弁に物語っていて、
何かとても胸にきました。
それぞれ違う思いを抱きながら、
全員同じ悲しみを共有しているのだろうと
思われるのが、何ともいえない気分になりました。
そして語られる矢二郎の思い出。
父の死の当日の出来事。
矢二郎の報われない恋と、
父の息子たちにかける思い。
矢二郎の、ただ自分がいなくなるだけで
解決しようという姿勢にやきもきしつつ、
しかし、その切ない心情におおいに共感し、
また、その父親である総一郎の、
矢二郎のどん詰まりの状況と苦悩を知りつつ、
家族と距離をとることを許さない態度に
軽い反発を覚えつつ、
しかし、総一郎自身の抱える兄弟仲違いの
悲劇にまたおおいに同情心を抱き、
その二人が楽しそうに酒を酌み交わして
偽電車で京都中を駆け回る姿が、
もう、
なんとも、
なんともいえない雰囲気で、
そして、その後の悲劇が。
総一郎が鍋になったと知ったあとの、
矢二郎の体から全ての力が抜けてしまったような
抜け殻のような姿が・・・。
なんかもう堪りませんでした。
「息をするのも面倒くさい」
「泳ぐと言うのも、面倒なことだ」
ああ、矢二郎ー!!
ここにきて、私の中で矢二郎株が急上昇しました。
ええ。
ああいう駄目にんげ・・・じゃない、駄目狸・・・でもない、
駄目カエル大好きです。
ただひたすら己を責めるばかりで、必要なこともせず、
最終的にその苦しみとともに引きこもるだけ。
ただただ悲しみと後悔と懺悔の中に籠って生きるだけ。
ああ、矢二郎さん、なんて駄目で哀しいカエルか。
とてもいいと思いますよ!
その駄目駄目な矢二郎に対する家族の愛情。
これがまた泣けました。
自分の心情を何も語らないけれど、
ただ静かに思い、受け止め、フォローに回る矢三郎。
全ての事実を知ったうえで
「我が子のことだもの、私が分かってやらなくては」
と深い愛で見守る母。
それから、
矢二郎の告白に激しい憤りを感じつつも
兄だから弟の気持ちは分かると
涙を流す矢一郎。
ここの矢一郎にぐっときました。
生真面目で誠実に生きている彼には
矢二郎の告白は到底受け入れ難いものだと
思われます。
が、それに怒りや諸々を抱きつつ、
ぐっと呑み込んで矢二郎の気持ちを慮る姿。
どうしようもなく涙する姿。
ぐっときました。
今回、観ていて、下鴨家の家族の姿に、
個々は不完全ながらも
全体で見るとなんてよくできた家族なのだろうと
なんだか・・・こう・・・感嘆のような思いを抱きました。
それが偉大な父の死によってもたらされたという
事実がまた・・・何とも言えない気持ちで・・・。
なんか・・・「何とも言えない」しか毎回言っていませんが、
本当に何とも言えない微妙な心情、感動を
毎回毎回感じる、良い物語だと思います。
今回もしみじみと感動しました。
あ。
赤玉先生と父の会話についても書きたかったけど、
忘れた。まあ、いいや。