「有頂天家族」第五話の感想です。
※ネタバレします。
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☆第五話「金曜倶楽部」の感想です。
弁天から借り受けた奥座敷と風神雷神の扇を
紛失してしまった矢三郎。
暫くは逃亡生活に明け暮れていたものの、
ついに覚悟の時が訪れる。
「逃げの矢三郎」という勇名(自称)に恥じることなく、
弁天からの逃亡を成功させていた矢三郎。
しかし。
年の瀬も迫り、例の金曜倶楽部の忘年会が近づいてきた
ある日、ついに弁天に捕らえられてしまう。
約束通り、余興を披露するため、
金曜倶楽部に連行される矢三郎。
ああ、可哀想に、矢三郎。
美味しい狸鍋になってね。
と、思ったら。
矢三郎さん、
金曜倶楽部のメンバーとすきやき鍋を囲む。
淀川教授と肉を真剣に取り合う。
余興を披露し、持て囃される。
気に入られる。
「次回(狸鍋の日)もおいで」と言われる。
馴染んでるー!!
お父様が狸鍋にされた仇の会に馴染んでるー!
もしかしたら自分も父の後を追わされるかもしれない、
一寸先は闇の危機的状況に馴染んでるー!
おまけにちょくちょく「食べる」「食べる」と口にする
弁天様と優雅に月見デートしてるー!!
こいつぁ、やばいぜ。
矢三郎さん、なかなかにいかれてやがる。
いやあ、前々からちょっとおかしいとは思ってましたよ。
父親の仇であるはずの弁天様に、
うっすらと仄かな想いを抱いているらしいところ。
少し間違えれば自分も食べられるという危険を
承知のうえで弁天に近づくところ。
でもね、実際に父親を食べた連中と鍋を囲んで、
わいわいがやがや楽しく牛を食べて、
そのうえ「余興しまーす」と思い切り狸の芸を披露して、
弁天様に化けてちくりと「食ってしまうわよ」と言われて、
その弁天と直後におデートとか、
そこまでアレだと思わなかった。
これはなかなか・・・。
うーん・・・。
いい感じだ・・・。
しかし、一方の金曜倶楽部の淀川教授と弁天様も
矢三郎とは逆方向にいい感じですね。
繰り返される意味深な言葉。
「食べちゃいたいほど好きなのだもの」
うわー・・・。
好きで好きで堪らないから食べてしまいたいけれど、
食べてしまうとその喪失感に耐えられない。
うわー・・・。
愛すると生じる飢餓感を解消するために
相手を喰らって手に入れようと欲するけれども、
実際にそれが達せられて充足すると、
その瞬間から喪失という新たな飢餓に苛まれる。
だから手に入れたいけれど手に入れたくない。
アンビバレンツ。
切ない、切ない、と嘆く弁天の気持ち。
分からないではないけれど、
永遠に月でも追いかけてろ!!
と、思わないでもないです。
本当にどうしようもなく迷惑なお人で、
魔性で、悪女ですね、弁天様は。
まあ、好きだけどさ!
そして、そんな弁天に惹かれ、もしかしたらいつか食べられ、
それでも状況によったら満足するかもしれない矢三郎。
本当にどうしようもなく阿呆ですね。
まあ、好きだけどさ!
そんな感じで。
色々と明るく愉快に気が狂っている雰囲気で、
頭がくらくらと惹かれました。
今回も楽しかったなー。