観に行ってきました。

「風立ちぬ」。


ということで、感想を少し。



※ネタバレします。


◎「風立ちぬ」

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あらすじについては、ヤフーレビューのページに

載っていたものを引用しますと、


「宮崎駿監督がゼロ戦の設計者・堀越二郎と

作家の堀辰雄をモデルに、1930年代の日本で

飛行機作りに情熱を傾けた青年の姿を描くアニメ」


ということになります。


そして、この一文で大体のあらすじ説明は終了します。

そのくらい内容は波乱なく、ただひたすら一筋に向って

進むものでした。


飛行機作りに全てを捧げた青年の人生。

それだけをただ淡々と静かに描いた映画です。


この作品、観る前から

「これは子供向けではない。大人向けだ」

という意見を耳にしていましたが、

確かに子供向けではありませんでした。

しかし、かと言って「大人向け」かと問われると

それも肯定するのには躊躇いが生じます。

どちらかというと「マニア向け」、「通向け」、

そんな印象がありました。


はらはらするような冒険も

わくわくするようなファンタジーも

心が大きく揺さぶられるようなドラマもない。

ただ静かに人生が進行し、

飛行機への夢と愛がひたすらに描かれる。

あの時代の飛行機や、そういった類の機械に

浪漫を感じる人向け。

そういった印象を持ちました。


けれど。

そのような表面的な映像の裏側にあるもの。

それを突き詰めて考えていくと、これは同時に

「子供向けでも大人向けでもマニア向けでもあり、

全ての人向けである」。

そんな風にも思いました。





主人公の堀越二郎。

彼は少年の頃から飛行機に愛情を持ち、

飛行機の設計士になることを将来の目標とします。

時が経ち、設計士になった二郎は、

戦闘機を作らねばならないという時代的制約の中で

自身の夢見る美しい飛行機を追い求め、

数々の失敗や経験を経ながらも

ただひたすら夢に向かって進んでいきます。

そのなかで美しく儚い女性・菜穂子との恋愛も

経験します。



美しい飛行機を追い求め、

美しい女性を愛し、

美しい夢と浪漫に生きた

美しい男の物語。



それが美麗な映像と共に、

ただただひたすらに美しく描かれます。


とても美しい作品。



けれど。

所々で何かが違和感を伝えてきます。



素朴で実直で素直で、

「いい青年」と何度も他人から評価される堀越二郎。

清廉潔白を絵に描いたような二郎。


その彼に時折投げられる言葉。


「偽善者」、「エゴ」。

「結核の病状が思わしくない菜穂子さんが

毎朝化粧をしているのを知っているのか」等々。

ふとした時に彼に投げかけられるこうした言葉の数々。



それから不思議な外国人。

「ここは魔の山。全てを忘れる」

そう狂気的な笑みで繰り返す彼。



美しい飛行機が高く高く青空に上がり、

そして、もう二度と戻ってこないという事実。

美しい飛行機を完成させた二郎が

夢の中で呟く言葉。

「一機も帰ってきませんでした」



関東大震災の場面で空を埋め尽くす黒雲と、

最後の夢の中に現れる黒雲の類似。



はっきりとは描かれない。

けれどひしひしと伝わってくる違和感。


そういった違和感を拾い集め、指し示す先を考えた時、

この美しい物語の裏側にどんな絵が見えるのか。




そう考えると、ひどく、空恐ろしい気分になる。



そんな感想を持ちました。
















・・・とか、色々と分かった風を装って書いてみたけど、

実際は何も分かってないよ!はははは!


なんかこう直感的にびびっときたことをまとめただけさ!

私、堀越二郎の人生についてもなーんも知らないし、

歴史も詳しくないし。

だから、適当に自分の思ったことだけをまとめたよ。



でも、歴史や飛行機なんかに詳しい人や、

もっともっと深い見方を出来る人がどんな風に観たのか。

それをネットで探してみるのも楽しみだよねー。

沢山の人が沢山の見方をしてるはず。



他の人の色々な感想を知りたくなるし、

自分の感想ももっと掘り下げてみたくなる。



そんな、エンタメではないけれど楽しい、

とても興味深い作品だと思いました。まる。