「空の境界」

第一話~第二話+第三話少しの感想です。



※ネタバレします。


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☆第一話「伽藍の洞Ⅰ」の感想です。


1996年、冬。

病院に重傷の少女が救急搬送された。


治療により、命を取り留めた少女。

しかし、彼女は術後も昏睡状態のまま、

目覚めることはなかった。


2年が経過。

ある日、彼女は意識を取り戻す。

奇跡的な回復だったが、何故か、

目覚めた彼女は自らの目を潰そうとした。




淡々と時間を追い、

出来事を描き、

そして、カウンセラーなのか魔術師なのか

正体不明の女性が、不思議な少女に

意味深長な会話をしかける。


そんな一話で、前情報のない私には、

世界観も人物像も物語の方向性も、

何もかもが不明で曖昧な印象でした。


しかし、「式」という少女の背負う「何か」。

まだ明かされないミステリアスな背景には

心惹かれるものがありました。


覚醒した式の目に見える不思議な光景。

枯れた花。

胸に空いた穴。

単なる二重人格ではない複合個別人格。

その片方の「彼」が失われた状態。

孤独を埋める方法。


完全に状況を把握できるような言葉はなく、

バラバラのパズルのピースだけ渡され、

ぼんやりと形が見えるか見えないか・・・という

印象ですが、彼女が何かしら深い暗部を

抱えているのだけは感じ取れました。

それを見てみたいとも思いました。



まだ何もかもが不明。

でも、この先を見ていくうちに明かされるだろう

彼女の背景。彼女の心。


興味の持てる一話でした。




☆第二話「伽藍の洞Ⅱ」の感想です。


心ががらんどうの式。

「生きる意志はないが死ぬのはごめんだ」という式。

「生きる理由はないのに死ぬのは怖い」という式。

病院に蠢く霊たちには格好の器である彼女。

そんな彼女を病院の霊が襲う。
その時、「とり殺されてもいい」と言っていた式は、

にわかに反撃に転じた。




生きる意志も理由もなく、

ただ死ぬのが怖いというだけでこの世にあり、

「生」と「死」の境界線を漂う式。


がらんどうの心を埋められずにいる式。


そんな彼女が死に触れ生を取り戻す・・・二話??


死が見える目を持ち、

生ける死体を死に帰し、

それで自身の生を蘇らせる式。


自身を殺して生き返る式。


生きるために殺しをする式。


何も持っていないからこそ可能性が無限の式。

・・・という、ことなのかどうかはよく分かりませんが、

矛盾のような言葉や事象が次々と起き、

それが興味深いと思いました。


こういう眩暈がしそうな認識の転換は面白いです。


物語はまだまだ掴めませんが、

それでも楽しいと思います。


それに。


戦える和装少女とか最高だろー!

ふははははっ!!


という、そういう思いもあります。

ええ、ありますよ。

それが何か。



そんな感じで。
何もかも分からないけど結構楽しんでる。

そんな二話でした。





☆第三話「痛覚残留Ⅰ」の感想を少し。


橙子の事務所(?)で働き始めた式。

その彼女に「非常に彼女向き」の依頼が舞い込む。



今回は、

式が浅上藤乃という少女の保護、または殺害を依頼され、

同時に幹也が別方面から藤乃を助けようとする、

そういう物語・・・なのでしょうか。

まだはっきりとは分かりません。


暴行事件の被害者であり、

連続殺人事件の加害者である浅上藤乃。


この藤乃という少女もまた、式と同じように

不思議で不可解な雰囲気を持つ人物でした。


無痛症。

痛みの感覚が分からない疾患。

藤乃はこの無痛症のため、

痛みを知らずに生きてきました。

しかし、暴行の被害に遭い、そのなかのひとつの

刺激で初めて痛みを知ります。


そしてそれが引き金となり、自分を暴行した男達を

次々と殺害するようになります。

超常的な力で痛覚を最大限に刺激するように残虐に。



藤乃は痛覚を持たない人間でした。

痛みがないということはすなわち、

生きている実感がないということです。

生の感覚の乏しい生。

生きていると言いきれない生。

しかし、藤乃は痛みを知り、初めて生を実感しました。

そして、その時から痛みを他者に与え、

他者から生を奪うようになりました。


痛みを与えられ、生を授かり、

痛みを与え、生を奪う。


式の時にも感じた、

何等かの逆転現象のような気分。

何かが反転しているような捻れているような。


そんな感覚を覚えました。


この感覚、結構好きです。


この先も楽しみです。