「新クロサギ」18巻の感想です。
※ネタバレします。
◎「新クロサギ 18」
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この巻には、
多くの年金基金から資金を集めて運用し、
高い実績を上げているようにみせかけていながらも、
実態は破たん状態だった、という投資顧問会社の
「年金運用詐欺」の完結編。
そして、海外のローカルブランドが日本に初出店すると
企業の代理人を騙り、提携企業から様々な理由で
金を騙し取る「進出詐欺」。
こんな内容の話が収録されていました。
「年金運用詐欺」。
巻末の「新シロサギ・データ・ファイル」でも
具体的に名前が挙げられていましたが、
これは「AIJ投資顧問事件」を元に作られた
エピソードのようです。
その「AIJ投資顧問事件」。
捜査が進むにつれて色々な悪質さが明らかに
なってきたようで、それが作中にも織り込まれて
いると思うのですが、これがまた何とも言えない
感じでした。
桂木「『LLIJ』、年金基金、厚生労働省―――
要するに、この三者は持ちつ持たれつ。
自らの保身のため互いを守り合う
ズブズブの関係だということだ」
ああ、それで大事になるまで放置されてたんですね。
桂木「年金基金には厚生労働省外局だった
社会保険庁OBが700人も
天下りしているという事実がある」
ああ、それで監督が甘々だったと。
腐敗してますね。
桂木「一方、年金基金が投資運用を委託する
投資顧問会社は、
経営者が(略)社保庁OBにとっても
昔からの知り合いである場合が多い」
ああ・・・そうですか。
腐敗しきってますね・・・。
桂木「何より問題なのが――
社保庁OBといえど、その多くは
ファイナンシャルプランナーなどの資格を
一切持っておらず 投資運用については
“ど素人”という点だ」
「にも関わらず、社保庁OBたちは(略)
金の運用先を決めるポストに就いている」
ああ・・・そう・・・。
もう最初のこの説明だけで
何とも言えない嫌な気分でお腹いっぱいでした。
そして、そこから描かれた本編の展開もまた・・・。
多くの人の年金を消失させた責任を全く感じず、
何とか自分の利益だけは守ろうと損得勘定に励み、
最終的に騙される年金基金や投資顧問会社の
人々の姿が・・・ああ・・・もう、なんていうか。
なんていうか、辛い。
「年金運用詐欺」の詐欺部分に関しては、
知れば知るほどどんよりとした気分になりました。
「進出詐欺」。
これは、海外のローカルブランドなど・・・
本編ではハワイのローカルアパレルブランドという
ことになっていましたが・・・などが、日本に初出店!
という偽の情報をでっちあげて、色々と提携する
企業を騙したりなんだりする話だった・・・・・・
んですが、
そんなことはどうでもいい!
いや、よくはない。
詐欺の内容は知っておくにこしたことはない。
でも、それはよかったんです。
ていうか、
本当は「年金運用詐欺」についても
どうでもよかったんです!
いや、よくはない。
ちゃんと色々と知っておくことは大事だと思う。
でも、それはよかったんです。
それよりも、今回は、この巻は、
詐欺部分よりもその他の部分が盛り上がってきて
うおー!!
・・・となりました。
何だか、次巻からは「新クロサギ完結編」に
突入だそうで、その導入ともいえるこの巻は、
それにふさわしく驚きの展開の連続でした。
まず。
前回の「シャイニング観光」の件で
ついにお怒りになった宝条さんの反撃。
黒崎君、ブタ箱へ!
なんと・・・!
黒崎君がついに自らホテル留置場体験へ!
おお・・・どうする・・・。
と思っていたら、「親の七光り」で釈放。
なんと・・・!
親爺、太っ腹・・・!
と、思っていたら、
黒崎君、独立宣言!!
黒崎「今回で最後だ、あんたとの仕事は」
「今までお世話になりました」
なんだこれ・・・!
なんか息子が父から独立するみたいになってる!
何だろう!
何でかちょっと感動的だ!
犯罪者が犯罪者から独立するだけなのに!
それからそれから、
黒崎と女神・氷柱ちゃんとの別れ・・・!
氷柱「いつまで!?」
「ちゃんと帰ってくるんでしょ!?」
黒崎「ああ、帰ってくるよ。ちゃんと・・・・・・」
氷柱(うそつき・・・・・・!!)
ぐああああ、もうやめてー!!
なんでよ!なんでよ、黒崎!
どうしてこうなるのよ!
これから氷柱ちゃんはどうしたらいいの!?
クロちゃんのダイエット用高級御飯代は
氷柱ちゃんのバイト代では賄えないのよーーー!!
・・・などなど。
その他にも神志名さんのことやら、
早瀬さんの恐怖!歩くだけ攻撃!やら、
犬伏さんのことやら、
宝条さんのおっそろしい最後の表情やら、
色々色々と見所があって今回は大変でした。
桂木さんと決別し、行方を晦ませた黒崎君。
次巻ではどうなるのか。
楽しみです。
あと。
前々から気になっていたのですが、
桂木さんは黒崎のことをどう思ってるんでしょう。
以前から黒崎君に甘いとは思っていましたが、
今回なんかもう破格の扱いでしたよね。
自分の配下の宝条さんに裏で手を出して、
反撃をくらって警察に拘留された自業自得なのに、
わざわざ手を回して釈放させてくれるという、
この行動の意味。
「もう仕事は受けられない」
「宝条を潰す」
とはっきり宣言して出ていく黒崎を
黙って行かせる、この真意。
一体、桂木さんは黒崎君をどう見てるんでしょう。
まさか・・・まさかとは思うけど・・・
贖罪的な気持ちを抱いちゃったりしちゃったり
するんですかね?
それとも・・・息子とか孫とか弟子とか・・・。
うーん・・・。
あんまり桂木さんに情という文字は似つかわしくない
と思うんですが、でも、違うとすると黒崎君に
あそこまで甘い意味が分からないし・・・。
桂木さんが黒崎のことをどう思っているのか。
これからどうするつもりなのか。
その辺りもすごく気になります。