「PSYCHO-PASS」第十九話の感想です。



※ネタバレします。



◎「PSYCHO-PASS」

監獄の誕生―監視と処罰/ミシェル・フーコー
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☆第十九話「透明な影」の感想です。


シビュラで裁けない免罪体質者・槙島聖護。

シビュラで裁けない、ということは、すなわち、

現在の社会では裁く方法がないということでもある。

しかし、このまま槙島を野放しにしておくわけには

いかない。

槙島を自身の手で裁くため、

狡噛は公安を脱走し、逃亡した。

以前から親交のあった雑賀教授の元を訪れ、

槙島の次の手を予測する狡噛。

一方、一係は、行方をくらました槙島と、

そして脱走した狡噛の後を追いかける。





以前に登場した心理学の教授(だったかしら)の

雑賀さんが再登場しました。


槙島の次の一手を推測するため、

狡噛さんが協力を仰いだのです。


槙島の人物像について語り合い、

次に彼が何をするか、突き止めようとする二人。


「雑賀先生の印象は?」

「シビュラシステムの運営下に政治犯というものが

存在するとすれば・・・あの男のことだろうな」

「テロリスト。アナーキスト。アジテーター・・・」

「ところで、アナーキズムの定義とは・・・」

「マックス・ウェーバーの言葉を借りれば・・・」

「官僚制的行政は・・・」

「槙島はその優越性を・・・」

「・・・マックス・ウェーバーを持ち出された次の瞬間には、

フーコーやジェレミー・ベンサムの言葉を引用して・・・」



ごめん。

わかんない。

わかることばではなしてくれませんかね?


インテリの会話は宇宙語で困ります。

いや、単に私が不勉強なだけか。

駄目だわ、これじゃ。

槙島さんの会話についていけないわ。

でも、いいの。

槙島さんは宇宙語を話しているだけで

かっこいいからいいの。

むしろ宇宙語だからいいの。


槙島(妄想)「システムというよりは巨大な監獄では?」

       「パノプティコン」

       「一望監視施設の最悪の発展形」


ほら!

かっこいい!

パノプティコンだか、パンプディングだか何だか

さっぱりだけど、この、

何を言ってるか意味不明なところがかっこいい!


・・・それはともかく。

雑賀先生と狡噛さんの会話を、うっすらなんとなーく

理解しながら観ていた印象では、狡噛さんと槙島さんは

相当、根が似通ってるんだなあ・・・と、そう感じました。

実際、雑賀先生もそう言ってますしね。


根・・・というよりは、考え方?

人間性はかなり違うと思うけれど、

その思考?感性?はひどく似通っているのかなと、

そう思いました。


出会い方と立場と環境が違ったら、親友になれたかも・・・。

いや、どうだろう。

やっぱり宿敵だったかな・・・。

うーん・・・。

いや、やっぱり敵だな!

だって、あの二人が「俺達、マブダチ!」な図を想像すると

すごい怖いし!


いや、そんなことはどうでもいいんですが。

その、思考が似通っている狡噛さんが推測した、

「槙島の原点」がちょっと意外でした。


自身が免罪体質者だと気付いた時、

シビュラに判定されることはないと知った時、

槙島は疎外感を覚えた。

それは、この社会では「人間の仲間に入らない」

ということだから。


それが槙島の「原点」ではないかと

狡噛は推測しました。


社会から「居ないもの」として扱われる疎外感。

「透明人間」の孤独感。


そんな、しおらしい神経があいつにあるだろうか!?

と、ちょっと反射的に思っちゃいましたが、

狡噛さんが言うならそうかもしれません。


意外と、そういう単純な孤独が原動力かも・・・。

やだ、槙島さんの意外と純粋な神経と、

憂い顔(狡噛の想像)素敵・・・♡


いや、そんなことはどうでもいいんだよ!

ちょっと気を抜くとすぐに「槙島さん、素敵・・・♡」に

思考が走ってしまって仕方ありません。

私の色相は相当濁っている。


で。

肝心な「次に槙島が何をするか」ですが。

雑賀先生が某匿名掲示板にスレッドを立ててみたところ、

(最終的に頼れるのは機械ではなく人間の力ってことなの

かもしれませんが、この行動には思わず笑ってしまい

ました。いや、匿名掲示板の力は案外侮れないと

思います。思いますが、しかし。この局面でこの行動。

雑賀先生・・・何してんの、あんた。こんなスレッドを

立てるなんて朝飯前だぜ!・・・何してんの、あんた)

色々な意見が集まりました。

そのなかで狡噛が目に留めたのは

「食糧の自給体制を破壊する」

というもの。


どうやら、今、日本は人口が都市だけに集中し、

田舎は無人。

そして、その無人の土地で機械が自動で農業を営み、

食糧であるハイパーオーツを生産している。

それが食糧の99パーセントを占める。


ええ!?

そんな世界だったの!?

ハイパーオーツって何!?

99パーセントって何!?

日本人、麦だけ食べて生きてるの!?

食の安全崩壊なんてもんじゃないよね!?

シビュラより大問題じゃ・・・。

ていうか、日本は鎖国してるの!?

外国はどうなってんの?

無法地帯!?

何?何が??

は?え?


なんだかとんでもない情報が見えたような気がしましたが、

それはさておいて。

とにかく槙島が次に狙うのは食の危機ではないかと。

そう狡噛さんは考え、動き出しました。


はー・・・。

食ねえ・・・。

最後はそういう基本的なことが物をいうかも

しれませんねえ・・・。


それにしても狡噛さんは本当に優秀だなあ。

脱走してから一日二日で、

もう槙島への手掛かりを得てしまうもんねえ。

いくら思考が似ていると言ってもねえ。

的確に動かなきゃ、こんなに早く次の行動には

移れないもんねえ。

凄いなあ。


それに比べて某監視官は・・・。

無能とか言われてる人は・・・。


槙島の行方も狡噛の行方もさっぱり掴めなくて、

捜査継続の意義を局長に熱く語って

「ふ~ん・・・あ、そう」と気のない返事を適当に貰って、

かつての相棒で今の部下には逃亡されるし、

それを部下で先輩で父親は静観してただけだし、

むしろ送り出して協力してたし、

そのくせ「もう関わるな」とか言うし、

皆で「信念」「男の意地」とやらで勝手なことして

俺を置きざりにして向こう側にいきやがって、

あいつらと同じ轍は踏むまいと保守的に生きてきたと

思ったのに、ここにきてもうそれが出来ないうえに

色相は潜在犯一歩手前。

でも、狡噛のために集中セラピーなど

受けている暇はない!

あいつを止めるのは俺だ!


ぎ・・・宜野座!

宜野座あああああ!!


おまけにおまけに、

局長=シビュラには、裏で

「あれはもう駄目だな」

とか言われてるんだよおおおお!


あああ、宜野座ああああああ!!


心が、

心が痛い!


立場上そうほいほいと身勝手に動くことも出来ず、

周囲の人間の影響から、社会のルールから逸脱

することも出来ず、

上の勝手な命令と下の勝手な不満に苦しめられ、

ただ日々を身を守って生きようと思っていたのに、

今になってそれも出来そうにない。

もう、

もう後は、

潜在犯に落ちるしかないじゃないか!!


宜野座さああああん!!


無能だろうがなんだろうが、

私は宜野座さんが大好きです。

(槙島さんはもっと好きです)

なので、今回はもう心が苦しくて痛くてなりませんでした。

苦悩が彼の一番の魅力だと思います。

立場上も性格上も身動きのとれない葛藤と苦悩。

それが彼の輝いている部分だと思います。

でも、やっぱり心が痛い!

今回は特に痛い!





脱走した狡噛さんがどうこうよりも、

社会から疎外された槙島さんがどうこうよりも、

世界の中で日本が鎖国しているどうこうよりも、

何よりも今回は宜野座さんが苦しい!

そんな十九話でした。


ああ、宜野座さん。

彼は最終的には執行官に落ちそうな気がします。

あ・・・その前に生き残れるかしら・・・。