新世界より」第二十話の感想です。

頭がぼーっとするので、だらだらと思ったままに。



※ネタバレします。



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☆第二十話「冷たいひだまり」の感想です。


病院で遭遇した悪鬼から逃げ出した早季と覚。

しかし、悪鬼は後をつけてきていた。

このままでは郷までついてきてしまう。




悪鬼から何とか逃げ出したと思ったら、

それは静かに後をつけてくる。


その悪鬼を何とか巻いたと思ったら、

今度は運河に何か化物がいる。


人間と刺し違えて死ぬ兵器として作られたような化物。

その攻撃から何とか逃れたと思ったら、

今度は疑心暗鬼が敵。


バケネズミと間違えて人間を殺してしまい、

愧死機構によって自分も死ぬ人間が続出。


そして続くバケネズミのゲリラ攻撃。



・・・もう散々です。


あっという間に郷は焼け野原になり、

死亡者や怪我人が溢れました。

人間は、呪力は、とんでもなく強いと思っていたのに、

実際は何て脆い・・・。


そして、野狐丸、何て恐ろしい・・・。

人間と戦うために、戦って勝利するために、

悪鬼を味方につけ(?)、

生物兵器を作り、

それから同胞を捨て駒のように使う。

恐ろしい奴・・・。

命を幾つも使い捨てにして、

しかしそれで確実に戦いを勝利へと向かわせている。

恐ろしい奴・・・。


正直、ここまで出来る奴だと思ってませんでした。

今回は、野狐丸の冷酷非道な優秀さに

心底肝が冷えつつも、ある意味感服しました。

凄かったんだね、野狐丸。

服のセンスとお追従レベルが凄いだけかと思ってた。

ごめん。


しかし、事がここまで重大になったのは、

単に野狐丸が優秀だったからだというだけではなく、

人間側にも問題があったからなのでしょう。


早季も内心で思っていたようですが、

人間側には準備不足と、なによりも驕りがありました。


呪力を持っている自分達が負けるわけがない。

それもバケネズミなんかに。


そういう意識が常にあったのが

何よりの問題だったと思います。

自分達の中にある危険にばかり目を向けて、

外にある危険は軽視していた。

呪力を信じすぎていた。

それが問題だったと思います。


ていうか、それは問題だと思ってました。

ずっとおかしいと思ってました。


「呪力があるからバケネズミに何させても大丈夫☆」

「汚い仕事、面倒な仕事は奴らにやらせれば

大丈夫☆」

「奴らのコミュニティは全て管理してるから大丈夫☆」

「ちょっとくらい進化してたって大丈夫☆」

「大丈夫☆大丈夫☆」


そんなわけあるかー!!

と、思ってました。


なのに、今になっても早季が

「まさかこんな事態が起こるとは想像したこともなかった」

とか言っているので、

あーそう。そりゃーたいへんだね。ふーん。

としか思えませんでした。

だって早季ちゃん、昔っから野狐丸と面識あるうえに、

あんな凄まじい進化を目の当たりにしといて、

貴女、何を今更・・・。


・・・まあ、いいや。

とにかく、バケネズミを事細かに管理していても、

その大きな変化を見逃すほどに

人間は呪力を信じ過ぎていたんでしょう。


そして、自分達ばかりに目を向けていて、

でもそれも欠陥のあるシステムだったんでしょう。

あんなにまで人道に反した管理を徹底しているのに、

もし悪鬼が現れたら・・・という想定をしていない、

重大な穴のあるシステム。

だから今、滅亡の危機にある。


・・・。

あー、

なんか、今になって思うと、

この世界の人間社会は何て脆いものだったんだろうと

思います。

最初は「呪力って便利だなー」とか「呪力って強いなー」

とか、純粋に思って観ていたのに。

なのに、今になって振り返ると、確かに呪力は便利で

強いけれど、別にだからといって万能ではなかったと

思います。

そして、そんな強い力ばかり持っている人間がいる

社会は、逆にそれゆえに脆かったなーと思います。

呪力があるから強く、

強いから管理に困り、

管理をきつくしたから、

今、自分達を傷つけたり、

悪鬼を傷つけられなかったりしている。

そして、強いからと侮っていた存在に苦しめられている。

あー、脆い。

何て脆いんだろう。


何だかとても諸行無常な気分になりました。

今なら解脱出来そうな気に・・・いや、無理だな。




何だか、何を言いたいのか分かりませんが、

とにかく無常を感じた二十話でした。