「新世界より」第十八話の感想です。
※ネタバレします。
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☆第十八話「紅い花」の感想です。
圧倒的な武力を持つ大雀蜂コロニー。
それが、一瞬にして壊滅させられた。
恐らく塩屋虻コロニーに。
戦場となったであろう場所の遺留品を調べた人間たちは、
幾つもの不審な点に不安を抱く。
塩屋虻コロニーの武器が一切見当たらない。
大雀蜂コロニーの武器が全くの未使用状態。
バケネズミ達の急速な発展。
俄かに膨れ上がるバケネズミの脅威。
そんななか、夏祭りが行われた。
いよいよ大変なことになってきました。
もう、観ている間中、ずっと
「うわあ・・・」
「うはあ・・・・・・」
しか言ってませんでした。
もうどうしようもない。
コロニーの拡大を巡って対立をしている・・・と
思われていたバケネズミ達の戦争。
それに一瞬で終わりがきました。
塩屋虻コロニーの圧倒的勝利でもって。
しかも、その方法が一切不明。
武力を誇る大コロニーを一瞬で壊滅させたというのに、
使用された武器も分からなければ、反撃のあともない。
ただただ負けた側の無残な姿が残るだけ。
人間が協力をしているのでは。
ミノシロモドキの知識を手に入れているのでは。
人間の間では色々と憶測が飛び交いますが、
どれも明確な証拠はありません。
ただ一つの方針だけが満場一致で決定されました。
「塩屋虻コロニーおよびそれに同盟するコロニーの
バケネズミについては、全てを駆除、抹殺する」
そのための部隊が密かに送られ、
そして人間たちは暦通り夏祭りをとり行うことにしました。
その夏祭り当日。
平和で楽しげな世界が急に一変しました。
バケネズミの総攻撃によって。
ついに、バケネズミが人間に牙を剥いたのです。
・・・って。
人間たち、ちょっと油断し過ぎじゃあないですかねえ。
「バケネズミごときが」とか思ってるから
こんなことになるんですよ。
あっさり「バケネズミは駆除!」とか言ってのける
ようなことしてるから、こんなことになるんですよ。
大量虐殺される、滅ぼされる、ってなったら、
何だって全力で反撃してきますよ。
何で平和に夏祭り楽しみだからやろう!
とかなってんですか。
危機感があるんですか。
ないんですか。
何なんですか、一体。
何というか・・・。
ここ最近の展開には、もやもやーっとした感情を抱きます。
いや、展開がつまらないとかそういう方面ではなくて。
人間たちがあまりにバケネズミの脅威に無自覚というか
無関心というか、のほほんとしているのが不可解なんです。
自分達より知能も知識もなく、第一呪力がないからと
侮っているのは分かりますが、それにしたって
ここ最近のバケネズミの進歩の速度は異常です。
人間たちも「おかしい」「おかしい」と言ってはいるんです。
なのに、誰も本気で彼らを脅威とは思っていない。
不安とは思っているけれど、
本気で敵になるとは思っていない。
バケネズミが人間に本気で刃向うとは思っていない。
・・・ように見えます。
表面的には脅威だと話しているけれど、
心の底ではそう思っていないというか。
自分達の優位を信じて疑わないというか。
それが不可解なんです。
だって、人間たちは、自分達の仲間や子供については、
あれほどに恐怖と警戒心をもっているじゃないですか。
幼い頃から教育して、洗脳して、思想をコントロールし、
同胞に対する攻撃心は封印。それでも「欠陥」の烙印を
押されたら、物理的に抹殺する。
そうやって完璧に平和を維持しようとしてるじゃないですか。
なのに、どうしてバケネズミにはその過度ともいえる
警戒心が緩むんですかね?
呪力が使えないから?
その一点で??
うーん・・・。
しかし、バケネズミがミノシロモドキから過去の文明の
様々な知識を手に入れてしまったり、それで大量破壊
兵器を作って攻撃してきたりしたら、さほど変わらないと
思うんですけどね。
それに、自分達の子供だって呪力を十分に使いこなせ
ないのに、あんなに恐怖心を持ってたじゃないですか。
なのに、何でバケネズミには・・・。
うーん。
もやもやします。
このバランスの悪い恐怖心。
自分達の内には恐怖と警戒をマックスに高めるのに、
自分達の外にはあまりそれらを抱かない。
うーん・・・。
なんか・・・こう・・・もやもや。
それと。
同胞に対しては攻撃が加えられないように、
ボノボ機能が働いて「愛の社会♡」を築いている
人間たちですが、その彼らがバケネズミを敵と
判断した時に見せる攻撃性も、もやもやします。
人間同士ではあんなことやこんなことで紛らわせている
暴力性が、バケネズミに対してはもろに剥きだしになって
殺戮を楽しんでいる。
人間同士では、たとえ殺されようが攻撃し返せないのに、
バケネズミに対しては異様なハイテンションで抹殺抹殺!
あの富子さんでさえ
「いまだかつて、どんな生き物も味わったことのない
ほどの苦痛のなかで、ゆっくり命を奪ってやることを」
ですからね・・・。
平和なのか愛なのか暴力なのか殺戮なのか。
何だか・・・バランスの悪い生き物な気がします。
ひどく歪んだ生き物のような気がします。
とても、もやもやします。
うーん・・・。
何だか・・・。
うまく説明できませんが、
あちらこちらで人間にもやもやするものを感じます。
でも、
こういう作品、大好きです!
楽しいなあ、あはは。