「超訳百人一首 うた恋い。」第八話の感想です。


もう最終回を終えた地域もあるみたいですが、

ひたすらマイペースに書いていきたいです。





※ネタバレします。



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☆第八話

 「末の松山 清原元輔」

 「実方と諾子 藤原実方朝臣」

の感想です。



この八話は、二つの恋が描かれていました。

前半は、諾子の兄と初恋の人の恋物語。

後半は、諾子と実方の恋物語。

しかし、恋物語としては二つ描かれていましたが、

この回は実質、諾子が「清少納言」として花開くまでの

人生が描かれた、一つの話だったと思います。



父・清原元輔が地方での任期を終え、

京へ帰るという頃。

兄と恋人が離れ離れになってしまうのを悲しみ、

「必ず迎えに来る」「必ず待っている」と約束している

のを見た諾子。

「必ず」と言えることなどこの世にあるはずないのにと

ばっさり言い切ると、父が「残念な考え方をするな」

と穏やかに諭します。


女性(貴族)は男性に守られて支えてが幸せの形

だった時代。

女性は世間を知らずに家の奥で生活するのが

当たり前だった時代。

恋に恋する少女時代。


その時代に「将来何があるかなんて誰にも分からない

わよ」と、冷静とも冷淡ともとれるようにはっきり述べら

れる諾子。

この賢く、そして生意気なところが諾子の魅力であり、

欠点でもある。

それが端的に描かれていたと思います。


そして、後半。

大人になってからの実方との恋では、彼女らしさが

より一層と輝かしく、また複雑に描かれていました。


実方と恋人同士になった諾子。

最初は初心な小娘のように受け身だった彼女が、

仲を深めるごとにその本性を見せていきます。

家に来る時間が遅いと実方を責める諾子。

それに漢詩を用いて宥めようとする実方。

しかし、諾子は更にその漢詩の続きを引用して

実方をやり込めます。

そして、その直後に自分の態度を反省する諾子。


「あら、白楽天なんて基本中の基本でしょ?」

と高飛車に言ったあと、

「気を悪くなさった・・・?(略)気をつけます・・・」

と心から謝罪する。


男にも引けをとらない、むしろ上回るほどの才知と、

それゆえに男を立てることを知らない愚鈍さ。


賢くて愚か。

彼女の他にはない魅力。

それが恋愛という場を通じて、より一層鮮やかに

描かれていたと思います。


そして、その彼女の魅力は、実方との恋愛を狂わせ、

彼女の人生を変えていきます。

才媛の噂を聞きつけた藤原道隆が、娘であり帝の妻

である定子の女房にと、諾子の宮仕えを希望します。

それに悩む諾子。そして実方。

諾子の「才走って生意気」な部分を愛し、

彼女の理解者であろうとしてきた実方。

諾子を愛しているから手元に置いておきたいと

思う気持ちと、彼女の才気を理解するがゆえの

出仕の後押しをする気持ちで、心が揺れます。

彼女を愛しているから手放したくない。

広い世界へ彼女を解き放ちたくない。

大海に出た彼女に「つまらない男」だと気付かれたくない。

そうして、実方は気付きます。


「私は彼女の才気を愛していて、そして・・・持て余している」


満ち溢れた才気で実方を惹きつけ、

満ち過ぎた才気で実方に別れを決意させる。


諾子の魅力は恋愛を狂わせ、人生を変え、

そして彼女は中宮定子の側で「清少納言」として

花開きました。

それが幸福な選択だったかは分かりません。

ただ、彼女は宮中で「信じられるもの」を見つけたようです。






「清少納言」と聞くと、知識は素晴らしいけれど、それを

ひけらかし、なおかつガシガシ主張する激しい女性。

そんなイメージがある・・・ような気がします。

(そんなに詳しくないんで、間違ってたらごめんなさい)

けれど、私は何故か清少納言を嫌いとは思えず、

むしろかなり好意的な感情を抱いていたので、

今回の話にはとても腑に落ちる感覚がありました。

賢くて生意気で愚かで愛おしい。

それが魅力なのかなと。


勿論、「超訳」なので史実とは違う部分も多くあるだろう

とは思います。

でも、何となく自分の中で新たなものが見えたような

気がしました。



つまり、

清少納言ちゃん、かわいい~!!

ってことです。




あーそうだ。

あと、今回今更ながら痛感したんですが、

この作品は良い声の男性声優さんたちが、

現在ではとても正気では言えないような

甘い甘い甘くて死ぬ!言葉を、

思いっきり真剣に囁いてくれるので、

本当に貴重で有難く恐ろしいと思います。

やばいってまじでえー!!

恐ろしや、恐ろしや(?)

ありがとうございます(?)