「百鬼夜行抄」12巻の感想です。
※ネタバレします。
◎「百鬼夜行抄 12」
- 百鬼夜行抄12 (ソノラマコミック文庫)/今 市子
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この巻には、
交通事故に遭ってから、幼い頃の悪夢を繰り返し見る
ようになったり、鬼のようなものを見るようになったり、
「本当の家族について知りたくありませんか?」と
怪しい電話を受けるようになったりと、周囲に異変ばかりが
続くようになった女性の「見知らぬ妹」。
「三の数は不吉だ」と言われる家で、揃って写真を撮った
三姉妹の一人が亡くなり、その通夜の晩に三人の住職の
一人が失踪するという変事が起こった「三人法師」。
律が、物の怪に頼まれて送り迎えをした男性が
道中急に首を吊り、孫娘が行方不明になった「一陽来復」。
などの五編が収録されています。
この作品の感想を書く時には毎回言っているような
気がしますが、
この日常と非日常の混然一体具合が溜まりません。
この世と異界の境界が曖昧で、
人と妖魔がそれぞれの価値観で暮らし、
時に害したり、時に助けたり、時にすれ違いながら、
生活している。
普通に。
お互いにごく普通に。
それが毎回、読むたびに、
「ああ、こんな生活してみたい~~!!」
という願望を強く呼び起こします。
が。
一瞬後に思い直します。
「ババ抜きで負けた瞬間に手とか足とか指とか
持って行かれる生活はしたくないな」と(笑)
いや、でも、こういう不可思議がそこにある生活は
憧れです。マジで。とてもマジで。
でも怖いのはお断りです。
だって~あたし~怖いの苦手なんだも~ん。
泣いちゃう~。マジで。とてもマジで。
それはともかく。
今回も呪いやら儀式やら幽霊やら色々と不可思議
盛り沢山で、そういう部分でも大いに楽しめましたが、
それとは別にちょっとした事件がありました。
律が死にました。
そして契約を終了した青嵐は自由になりました。
今までいまいち影が薄いし、「律を守る」という契約も
あんまり果たしていないな~と思っていた青嵐が、
ここにきてまさかの引退。
えー、びっくり。
契約が切れた青嵐は「自由だ自由だ」とばかりに
遊び回っていますが、半月家を空けたかと思えば
たまに帰ってきて、妖魔を「ボランティア」で食べたりも
しているようです。
そんなふわふわとした位置にいる青嵐。
これから律との関係や律への心情にも変化が
起こるのかと、不安と期待でわくわくです。
あ、律は死んだけど一瞬で生き返ったので
幽霊ではないです。
カボチャで死ぬのは流石に格好悪いです。