「百鬼夜行抄」12巻の感想です。



※ネタバレします。


◎「百鬼夜行抄 12」

百鬼夜行抄12 (ソノラマコミック文庫)/今 市子
¥630
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この巻には、

交通事故に遭ってから、幼い頃の悪夢を繰り返し見る

ようになったり、鬼のようなものを見るようになったり、

「本当の家族について知りたくありませんか?」と

怪しい電話を受けるようになったりと、周囲に異変ばかりが

続くようになった女性の「見知らぬ妹」。

「三の数は不吉だ」と言われる家で、揃って写真を撮った

三姉妹の一人が亡くなり、その通夜の晩に三人の住職の

一人が失踪するという変事が起こった「三人法師」。

律が、物の怪に頼まれて送り迎えをした男性が

道中急に首を吊り、孫娘が行方不明になった「一陽来復」。

などの五編が収録されています。




この作品の感想を書く時には毎回言っているような

気がしますが、

この日常と非日常の混然一体具合が溜まりません。


この世と異界の境界が曖昧で、

人と妖魔がそれぞれの価値観で暮らし、

時に害したり、時に助けたり、時にすれ違いながら、

生活している。


普通に。

お互いにごく普通に。


それが毎回、読むたびに、

「ああ、こんな生活してみたい~~!!」

という願望を強く呼び起こします。


が。

一瞬後に思い直します。


「ババ抜きで負けた瞬間に手とか足とか指とか

持って行かれる生活はしたくないな」と(笑)


いや、でも、こういう不可思議がそこにある生活は

憧れです。マジで。とてもマジで。

でも怖いのはお断りです。

だって~あたし~怖いの苦手なんだも~ん。

泣いちゃう~。マジで。とてもマジで。



それはともかく。

今回も呪いやら儀式やら幽霊やら色々と不可思議

盛り沢山で、そういう部分でも大いに楽しめましたが、

それとは別にちょっとした事件がありました。


律が死にました。


そして契約を終了した青嵐は自由になりました。


今までいまいち影が薄いし、「律を守る」という契約も

あんまり果たしていないな~と思っていた青嵐が、

ここにきてまさかの引退。


えー、びっくり。

契約が切れた青嵐は「自由だ自由だ」とばかりに

遊び回っていますが、半月家を空けたかと思えば

たまに帰ってきて、妖魔を「ボランティア」で食べたりも

しているようです。

そんなふわふわとした位置にいる青嵐。

これから律との関係や律への心情にも変化が

起こるのかと、不安と期待でわくわくです。


あ、律は死んだけど一瞬で生き返ったので

幽霊ではないです。

カボチャで死ぬのは流石に格好悪いです。