「人形宮廷楽団(ギニョールきゅうていがくだん)」、

全五巻の感想です。



※ネタバレするかもしれません。


◎「人形宮廷楽団」

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全五巻。


かなり前に読んだきりなので

あまり覚えていないのですが・・・。


えーと・・・。

確か・・・。


ゾンビのような、感染すると死者が動いて人を襲う

奇病「ガラテイア症候群」が蔓延している世界。

その世界で、旅をしつつ「黒の讃美歌書」を用いて、

ガラテイア症候群に対処する「裏の宮廷楽団」と

呼ばれる一団がいた。


というような話だったような・・・。


で、最初は全く楽団のことを知らなかった主人公

エレスが、自分の町に訪ねてきた楽団と知り合い、

色々あって楽団に加わって旅をすることになった。


こんな話だったような・・・。
気がするけど・・・。

どうだろう・・・・??


ゾンビのような謎の奇病が蔓延する荒廃した世界と、

ゴシックな雰囲気で濃いキャラばかりの楽団と、

美貌だけれど冷徹で横暴な少女の女王に、

好みな雰囲気や設定だと思ったような記憶があります。

設定は好きだったけど・・・話は・・・どうだったかな。

あまり覚えてません。



それよりも最終巻に収録されている読み切り

「キャメロットガーデン」が記憶に残っています。


名前以外の一切の記憶を失い、気が付いた時には

謎の学園にいた主人公の少年リュー。

自分が何者なのか、ここがどこなのか、

何も分からないまま学園生活を送ることになった彼は、

次第にその学園の奇妙さに不信感を募らせていく。


そういう話でした。


リューが迷い込んだ学園。

それは本当に奇妙で謎だらけで、

とても興味を惹かれました。


トランプのカードの種類で分けられた生徒達。

「絵札」という幹部以外は数字で呼ばれる生徒達。

同じ顔の先生達。

それを疑問に思わない生徒達。


至る所にある顔の上半分を隠された「主」の肖像。

決して顔を見てはいけないその「主」を、

生徒達は心から信仰し、反抗者は厳罰に処される。


そして、

特別な「白札」の称号を持つ少年・クラリベル。

その孤立した学園(世界)では病気や怪我をしたら

治癒することがないが、彼だけがそれを治療する力を

持っていた。

そのため全ての生徒から憧れと、

同時に憎しみを抱かれている特別なクラリベル・・・。


このように次から次へと奇妙でどこか不安を覚えさせる

設定が明かされ、生徒達による糾弾会やら殺人鬼やら

残酷で血生臭い事件も起こり、どんどんとこの世界に

引き込まれた後、ぽんと真実が提示されます。


その真実によって、今までの全ての違和感が

一瞬で拭い去られます。

全てに納得がいきます。

そのカタルシス。

それから全てを知った後に新たに知る残酷さ。



不思議で不安で救いがない。

それでもどこか美しい。

そんな印象的な読み切り作品でした。