◎「アツイヒビ」

アツイヒビ (花とゆめCOMICS)/緑川 ゆき
¥410
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短編集です。

四作が収められています。


優等生の池田吾郎が落とした生徒手帳には、

殺人計画が書かれていた。

手帳を拾った室園と国吉は、池田の計画を阻止するために

協力体制をとる、という表題作の「アツイヒビ」。

昼間の全日制過程の女子生徒と、夜間の定時制課程の

男子生徒。二人が共通の机に花の絵を描き、それによって

交流が始まる「花の跡」。

単純で真っ直ぐでへこたれない遠山雛子が、

複雑で捻くれていて強いようで弱い池田に恋をする

「寒い日も。」

この三作は世界がリンクしたシリーズ物(?)です。


そして最後の一作、「名前のない客」。

意外とミステリー要素、アクション要素炸裂。

時々ユーモアもあるよ。

人質にとられた要人救助のため、組織から派遣されてきた

謎の少年、三郎(36号と名乗ったことより命名)君。

彼が、名乗り出ない依頼人とその他に振り回されつつ、

女装したり、逃げたり、アクションしたり、女の子と池に

落ちたりする話です。うぐいすアンパン。





読んだ後、残ります。

切なさとか、悲しさとか、少しの喜びのようなものとか。

それぞれに、それぞれの情感と余韻。


こういう作品達に逢えると、ちょっと幸せになります。

何ていうのか、感情の波に浸れる感覚。

そういう感覚が凄く好きなんです。

「夏目」もそういう感じですよね。



・・・で。


「名前のない客」は浮いているのですが。


あれは・・・何?(笑)

いや、好きですよ?

こういうミステリー要素のある作品、好きですよ。

謎の組織の一員とか、わくわくですよ。

でも何か急にヅラとかワイヤーとか銃とか

出てくると、今までとの落差にビックリしますよ。

驚いたからなのか何なのか、

三郎君がアクションして敵と戦う場面で、

「ヒューヒュー、カッコイイよ!!」

と、何故か合いの手を入れてましたよ。

何でよ・・・。


でも「あとがき」を見ると、緑川先生はこういうものが

お好きで、やりたいんだとのこと。

うーむ・・・。

ちょっと意外。

他にも読んでみたいような気はするけど。