◎「トリップ」

トリップ (光文社文庫)/角田 光代
¥520
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だらだらと同じに続く日常。

そんな日常に倦んだ人々が主役の連作小説。


駆け落ちに失敗し、続くはずでなかった日々の

続きを生きつつ、急に叫び出してみる女子高生。

LSDを飲み、狂ったふりをしたりしながら、

「なんでえ」を繰り返す子供の相手をする主婦。

完璧にストーカーだけれど、「ストーカーではなく

神に近い愛だ」と相手を追いかける男。

その他色々な人物が出てくる短編集です。



よく考えると変人の多い作品で・・・あるような・・・。

そんなことはどうでもいいんですけど・・・。


どの話にも、「いつか見た未来」や「まだ見たことの

ない世界」、「こんなはずじゃない日々」を求めつつ、

今の代わり映えしない日常を生きるしかない人々の

心理が描かれています。

静かに柔らかく、押し潰されそうな雰囲気で。


こういう気持ちがよく分かる私としては、読んでいて、

共感するような苦しいような

意味もなく「ごめんなさい」を繰り返したいような(何故)

そんな気がしました。