◎「殺戮にいたる病」
- 殺戮にいたる病 (講談社文庫)/我孫子 武丸
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蒲生稔が、女性達を殺して愛して、
「真実の愛だ~」と陶酔してる変態な話。
とか・・・こういう適当なまとめでいいのか・・・。
えーと・・・。
蒲生稔という死体愛好家が、次々と女性達を
襲い、連続殺人事件を起こしていきます。
その事件について、主に三つの視点から
物語が語られます。
一つは、犯人である稔の視点。
二つ目は、息子が犯人ではないかと疑う母親、
雅子の視点。
そして、被害者の女性と知り合いだった元警部、
樋口の視点の三つです。
三つの視点によって事件が語られ、そして
各人の思い、現代社会の病理のようなものが
段々と見えてくる話です。
くそっ、やられた!!
まさに、これ。
色々とやられました。
グロさにもやられました。
いや、本当はやられてません。
どっちだよ、みたいな。
いや、グロいことはグロいです。
死体を切って云々~のような描写が大分あるので、
そういうものの苦手な人には辛いと思います。
私は「グロいな~。ふ~ん」位で流していたので、
あんまり堪えはしませんでしたが・・・。
グロいのは嫌いですが、別段あっても気にしない
という意味不明の人間です。
それよりも、犯人の変態さ加減にやられました。
こいつ相当変態です。
私は女なので、女性の体に対する執着云々には
あまり共感ができないのですが、いや、出来たら
出来たで問題だと思いますが、いまひとつ皮膚感覚
として理解できないものの、ヤツの変態さ加減だけは
しっかり分かりました。
ヤバイヨ、ヤバイヨ。
しかし、その変態さ加減について、
「ああ、こういう殺人犯っているよね」
という感想を普通に持ってしまいそうな現代社会・・・。
うーむ・・・・・・。
この作品が書かれたのは結構前のようですが、
今読んでも描かれたテーマに感じるもののある、
そして、ミステリーとしても最高級な、良い一冊だったと
思います。