「最近さ~、映画を二時間見続ける忍耐がないんだよね」

と、明るく軽く妹に言ったところ、

「耐えて」

と、間髪入れず、憐れむように言われました。



◎「ゆれる」

ゆれる/オダギリジョー
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東京で写真家として成功している弟、猛。

田舎の実家で父と共に暮らしている兄、稔。

東京で奔放に暮らす弟と、

田舎で家業を継いだ実直な兄。


母の一周忌に久し振りに実家に戻った猛は、

兄と、幼馴染の千恵子と共に渓谷へと出かける。

毎日兄・稔と働いている千恵子は、猛に惹かれ、

猛とともに東京へ出たがっているが、猛はそれを

はぐらかす。

そんな微妙な関係の中、千恵子が吊り橋から

落下した。

落下した場所に一緒にいたのは稔。

この事件から、兄弟の関係が変化していく。



誰もが悪くなく、誰もが悪い。

そんな話だと思いました。


・・・うーん。

うまく説明できない。


弟も兄も、それぞれ複雑です。

自分一人で生きている弟ですが、彼は彼で悩みが

あり、勝手なところがあり、家を継いだ兄は真面目

だけれど、心に押し殺したものがあります。

一つの事件を巡って、兄と弟の愛情と憎悪が

見え隠れする話なのですが、簡単には文章に

出来ない複雑さを感じました。

そして兄と弟だけではなく、彼らに関わる全ての

登場人物達も、それぞれに一言では表せない

人格を見せていて、とても自然で、やりきれない

人間の性を見た気がしました。


こういう話はもやもやするけれど、でも好みのタイプです。


あ~、もう、人間なんてやってられない!!


とか思ったりしちゃうけど、好みです。