新世代の息吹 | 芸能の世界とマネジメント

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深瀬さんと一ノ瀬さんが卒業し、しかしながら、永久欠番ということで、大学でいう名誉教授相当となったお二人ですが、大変おめでたいことです。

ところで、LinQの立ち上げ時期からメンバーが去ったということで、いよいよ新メンバーが頑張らないといけない局面となっっておりますが、良い技術はこのまま残して継承していかないといけませんし、古くて使えないものは捨てないといけませんし、この加減と知識と技術の移転が非常に難しいのですが、これをやらない限り組織は続かないのもまた現実です。そこで私のパナソニック時代の体験などを踏まえ、少しだけこの「ナレッジマネジメント」についてお話ししようと思います。

例えば、私のバンドでLinQのカバーを行う際、『カロリーなんて』をよくやります。理由はギターを入れやすいというのが最大の要因ですが、これを内村宗子にLinQのメンバーが直接指導する場合、どうすれば内村宗子は完コピできるようになるでしょうか?という問いに対し、LinQの皆さんはどう答えていただけるでしょうか。

ナレッジマネジメントで重要になる概念に「暗黙知」と「形式知」があります。詳しくはこの分野での世界的権威である野中郁次郎先生の本を読んでいただきたいのですが、暗黙知とは体得された知識のことであり、例えば、ダンスは暗黙知そのものです。ダンスの基本ステップを文章化できないと思いますが、その文章化できない部分が暗黙知です。

形式知は文章化できる知識のことです。例えば、博多駅からから天神駅までの道順を示した地図などは形式知の一種であります。

前述の内村にダンスを完コピさせる方法となると、形式知と暗黙知の両方を伝えなければならず、とりわけ、暗黙知は技術を取得しているトレーナーにとってはまさに言葉にするまでもないことでも、教わる側にとってはその暗黙知の習得は非常に困難となります。これを伝える方法は後にやっていきますが、予習として野中先生の『知識創造企業』でも読んでおいてください。

ここからは余談ですが、私がパナソニックの電子レンジ事業部に勤務していた時、私の仕事はいわゆる技術職でした。大学院の時に理学系の研究科へもちょくちょくお世話になっていたので理系の仕事に抵抗はあまりなかったのですが、電子レンジのビス1本に関してまではさすがに予備知識はなく、ましてやマニュアルなしに分解と組み立てまでこなし、電子レンジの故障箇所と原因を的確に報告することを求められておりまた。

この部署に配属された時、先輩からいろいろと教えてもらうのですが、その時によくいわれたのが「適当に」です。そのあとにくるのが、「簡単やろ?」で、あとは先輩の動作を見て覚えるしかないのです。これは多くの製造メーカーはこうなるのではないでしょうか?というより、こうならざるをえないようにも思います。この時の経験により、どんな電子レンジでも分解から組み立てまでできるようになり、トランスやインバータ(基盤)、マグネトロンの性質や構造まで理解できるようになり、電子レンジ博士といっても過言ではないくらいに詳しくなりました。

ところで、前述の「適当に」ですけど、本当に適当に行うと先輩から激怒されますので、言葉のあやとしてとるのが筋ですが、教える部分と教えない部分とがあり、パナソニックの私がいた部署にかんしては、教えずして習得させる独特のやり方がありました。

さあ、LinQはどのような方法で若い衆に知識の伝達を行いますか?深瀬さん、一ノ瀬さん、指導者的立場になったわけですからここを考えてみてください。

ご高覧、ありがとうございました。