戦略と行動 その 6(マトリクス解説3) | 芸能の世界とマネジメント

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このマトリクスの説明も後半にさしかかりました。今回は革新的イノベーション戦略を解説します。



イノベーション戦略

出所:http://ameblo.jp/linqno1/entry-12148094812.html


破壊的イノベーション戦略と対角線上に位置するにも関わらず、「革新的」と命名されている戦略です。革新的と破壊的とはここでは明確な違いが出ており、もっともこの図からすると真逆です。

ゲイリーの解説によると「ジェネリック医薬品」を例に説明されております。要するに、ジェネリック医薬品を作るにはそれなりの新しい技術を要しますが、効能に関しては既存の医薬品と同じであるため、これまでの流通チャネルをそのまま使用できるというメリットがあります。たとえ新規参入の企業であっても、風邪用の医薬品であれば、やはり風邪用の医薬品の流通チャネルを使うのが当たり前の話で、その意味で特許が切れた企業にとってはこの革新的イノベーション戦略を軸とした企業は脅威となるわけです。

しかしながら、既存の市場を完全に壊してしまう性質のものではなく、既存企業にとって脅威になるものの、ある意味で共存共栄の道も模索できることから、その意味で「革新的」と命名されているものと推測できます。風薬を例に考えてみてください。風邪をひきました。症状は軽いので町のドラックストアで市販されている風薬を購入しようと店の棚の前に行くと、メーカー品とジェネリック品とが並べてありました。メーカー品は1週間分で1,000円、ジェネリックは同じ量で600円でした。さて、どちらを選びますか?という問題です。既存メーカーにとって脅威ではあるものの、共存できないことはないと予測できます。これが革新的イノベーション戦略というものです。

今のLinQはダンスに新しい要素を入れる必要がなく、その分、新しいビジネスモデルを開発する必要があるためにこの戦略は全くあてはまらないですし、今後もその必要はないと思われます。この戦略はビジネスモデルを軸として考える場合に有効で、例えば、AKB48のように、物販で稼ぐビジネスモデルが十分に可能であるならば、あとは劇場での出し物の内容を変えていくだけの新しい技術を開発していくという意味で、今現在のAKB48はこの戦略で勝負すればうまいこと運営を回すことができ、LinQとは対照的な個性を引き出していくことができ、ここに「棲み分け論」という今西錦司先生の理論を援用することができ、経営学でいう差別化戦略の典型例を見ることができましょう。

我ながら素晴らしい流れを作ることができたと自画自賛しているのですけど、元はゲイリーの理論なので彼が一番すごいのですが、それにしてもAKB48とLinQの比較でこのような差が出るとは面白いもので、同じアイドルとはいえ、これほどの違い、それに棲み分けの例を見ることができたことに関して、アイドルというものは非常に奥の深い芸能の領域であると改めて認識した次第であります。

次回は新設計イノベーション戦略を解説していこうと思います。ご高覧、ありがとうございました。