
芥川賞作家でミュージシャンの辻仁成氏(55)が、原作・脚本・監督、編集の映画「TOKYO DECIBELS(トーキョーデシベル)」(来年公開予定)を製作する。東京に音の地図を作る夢を持つ大学教授が、周囲との不協和音を埋めようとするヒューマンドラマ。1996年の自著「アンチノイズ」をベースに昨年、脚本を書き上げた。主演はSOPHIAの松岡充(43)。安倍なつみ(33)、安達祐実(33)がダブルヒロインに決まった。
4役全てをこなす辻監督の最新作は、人間関係のズレを、音のズレで表現しようとする人間ドラマだ。自主映画「天使のわけまえ」(94年)から数えて9作目のメガホン。のちに「Tokyoデシベル」として文庫化された三島由紀夫賞候補作の自著が原作で、2年前から脚本の執筆に取りかかった意欲作だ。
「東京の音の地図を作る」という壮大な夢を持つ大学教授(松岡)が調律師の恋人、娘、謎の女との不協和音を埋めようとする―。「昔から映画化したいと思っていた作品。(原作からは)相当手を加えました。文学路線が強かったが、ヒューマンドラマとして、心の部分に重きを置きました」と明かす。
主演の松岡は、朗読劇「その後のふたり」、映画「醒めながら見る夢」に続く辻監督とのタッグ。仏滞在中、直々にラブコールを受けた。「アーティストとしても尊敬している方。『松岡充の役者としての代表作を作ろうよ』と言っていただいたのは、グッと胸にきました。すごくうれしかったですね。僕がダメならこの映画がダメになる。そのぐらいの覚悟で命懸けでやります」と気合十分だ。
ヒロインを演じるのが、安倍と安達。謎の女を演じる安倍は「荒川アンダー ザ ブリッジ」以来3年ぶりの映画出演。「舞台やミュージカルとは感情表現、セリフの言い回しも違ってくると思う。現場で感じたことや、インスピレーションを大事にしながら役を作っていきたい」と話した。
大学教授の恋人で調律師役の安達は「調律の方にお話を聞き、実際に練習もしています。神経質でクールな感じの役。満たされない、順調なのにどこか欠けている気がしてしまう部分は共感できる。そこをうまく表現していきたい」と意気込んだ。今夏クランクイン。
台本覚えなきゃ‼は、この意味だったのですね。楽しみです。


なっち、