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「ほしのふるまち」考

 

 2006年から2008年まで、小学館のヤングアダルト向けの週刊マンガ誌「ヤングサンデー」に、「電車男」で有名な原秀則さんの「ほしのふるまち」が連載されていました。

 

氷見市がメインとなっている作品であり、マンガのタイトルの上に「世界一やさしい再生ストーリー」と書いてあることに注目しつつ、この漫画を読んで感じたことを書いてみました。

 

このマンガは、東京の有名進学校から落ちこぼれて、「遠い親戚」の住む田舎(抵抗ありますが・・・)の高校に転校し、親戚の家に居候することとなった男子高校生「恒太郎」が主役の青春再生物語です。

 

第一話では、恒太郎が海岸線を走る列車から、これから住むこととなるまち「氷見」の駅に降り立ったときに、「これ以上線路の無い風景や駅前の閑散とした風景を眺めて唖然とする」という場面があります。

 

私は歌が好きなので、今を去ること45年ほど前に奥村チヨさんが歌って大ヒットした「終着駅」という曲が思い浮かびました。

季節と語呂は合いませんが、「女」を「男子高校生」と読みかえれば、主人公が駅に降り立ったときの心情にハマるでしょう。

 

落ち葉の舞い散る停車場は

悲しい女の吹きだまり

   (中略)

   そして今日もひとり 明日もひとり

過去から逃げてくる

 

(私は氷見市在住ですが、勤務先が富山市だったので、長年国鉄氷見線から北陸本線に乗り継いで通勤していました。「終着駅」の大ヒット以降、かなりの期間、列車が氷見駅に着くと「氷見、氷見、終着駅氷見です・・・」と車内放送されていたと記憶しています。残念ながら、現在は放送されていませんが。)

 

 恒太郎の「遠い親戚」の家は、とある海辺のまち(薮田かな)にありました。

その日の夜に外出した恒太郎が、海辺で落ち込んで思わず涙しているところに、隣家に住む同年代の少女「渚」が現れて、恒太郎と会話します。

 

渚が夜空を見上げながら「東京やと見えん星も・・・場所が変わればちゃんと輝くんやね・・・」と言ったときに、恒太郎が「ハッ!」とします。

 

渚のこの言葉は、主人公を星に謎らえて励ましているのだと思いました。そして、ここで浮かんだのは、北島三郎さんの「終着駅は始発駅」という曲でした。

歌詞の最後の部分を記します。

 

希望を捨てるな

生きてるかぎり

どこからだって 出直せる

終着駅は始発駅

 

私の知る終着駅がテーマの曲がもう一つあります。八代亜紀さんの「愛の終着駅」という曲です。次の3番目等(2番目に「海の匂いがするだけで」という一節がある)の歌詞より、この終着駅は北の海辺にあると思われます。

 

北の旅路の 淋しさにゆられ

終着駅まで ゆくという

 

 作者の原秀則さんが「ほしのふるまち」の制作にあたって想定したという「海辺のまち」に加えて、氷見駅が「終着駅」であったことが、このマンガの舞台に氷見が選ばれた要因だったのではないかと思いました。

 

つまり、この物語のキーワードは「海辺(心が洗われる)」「終着駅(始発駅)」「再生(輝きを取り戻す)」の三つではないかと想像したのです。

 

都会で落ちこぼれた恒太郎が、海辺と終着駅のあるまちに住むこととなり、人々と交流する中で心が洗われて再出発し、次第に輝きを取り戻して行きました。

 

このマンガは映画化もされました。美しい風景とともに、希望の「ほしのふるまち」として「氷見」が描かれていたことに感謝しています。