モロウィンドはタムリエル大陸北東部に位置し、TESシリーズ3作目の舞台になった地です。
レッドマウンテンと呼ばれる、タムリエル大陸最大の火山が存在し、周辺は常に火山灰が吹き荒れています。
ブラック・マーシュはタムリエル大陸南東部に位置する、トカゲ人間のアルゴニアン人出身の土地です。『黒き沼』を意味する地名の通り、中心部には毒の沼などが存在する危険地帯で、まともな人間は近付かないようです。
東部の属州に関する公平的考察
……さて、たとえモロウィンドとブラック・マーシュに対する数百年にも亘る占領についての
疑わしい倫理と法的正当化を大目に見るとしても、これら二つの属州から、経済的あるいは軍事的な利益として我々は何を得たのだろうか。
確かに、これら属州に於いて帝国から専売権を得ている少数の者達は、人々の財産や資源を搾取して利益をあげているものである。しかし、それは帝国全体の利益であろうか。ほとんど、そのようには言えない。帝国の巨大な官僚組織の維持費は、その維持に充てられる関税や税金を上回るものである。
そして、これら属州の辺鄙な荒野の駐屯地に位置する帝国軍要塞の維持費ならびに建設費は、東部からの軍事的脅威の証拠が存在する限りに於いて、なるほど有効的金額といえるだろう。
だが、そのような証拠は存在しない。モロウィンドあるいはブラック・マーシュの如何なる軍隊も、シロディール自身の安全はいうまでもなく、どの他の帝国属州の安全をも脅かすものではなかったのである。
実際のところ、帝国の安全にとってのさらなる脅威とは、税吏が数千羽もの牡アヒルを養うのに金を掛けている怠惰な軍隊に他ならない。これらの軍隊の将校たちは、属州の内部で敵軍にも抵抗にも直面しておらず、西部に向けて野望を燃やしているのかもしれない。
彼ら忠実なる古参兵の軍勢および親愛なる専売業者によて肥え太らされた金庫は、帝国領土を取り囲む不確実性の内でも思いもよらない政治的要素となるものである。
もしもモロウィンドとブラック・マーシュに対する占領が理想主義に由来する大志によって動機づけられているならば、恐らく帝国に対する負担にも何らかの正当化が存在するだろう。しかし、モロウィンドの大変に不快な奴隷制度に帝国が無断の承諾を与えていること、それを恥と考えねばならない。
ダーク・エルフの主人の手から哀れなカジート人、アルゴニア人の奴隷を解き放つのに我々の帝国軍を用いる代わりに、その弁護の余地の無い奴隷制度を「守る」ために我々は軍隊に金を払っているのである。
モロウィンドの黒檀鉱山では、帝国からの認可の下に肥え太った専売業者が、はびこる賄賂と買収とによって保障された法外の利益を上げるために奴隷人夫を搾取しているのである。
決して我々の脅威とはならない国々に軍隊を送ったに過ぎないこと、そして、帝国皇室の友人ならびにオベッカ使いを単に富ませるためにモロウィンドとブラック・マーシュで最も恥ずべき邪悪な搾取を為したに過ぎないこと、これらの事実に照らして、東部に「平和と啓蒙」を齎すのだという非常に尊大な我々の提案について熟慮せねばならない。
公平に考察するならば、東部の属州に対する我々の占領は、倫理的には堕落しており、軍事的には弁護の余地の無いものであり、経済的には破滅を招来するものである。以上から引き出される唯一の結論は、東部の軍隊を解散させて、東部から帝国官僚と専売業者を撤退させて、そこに於ける古からの土地ならびに民衆を自由にするべきことである。
東部の文化に於ける儚い理想と幸運が保たれるように、我々は願えるようになるのである。
(モロウィンド)
(ブラック・マーシュ)