続けて、ていていたー氏の作成したFLASH『大日本帝国の最期 第壱幕』の紹介を兼ねて、取り上げさせて頂きます。




東條内閣が出した、二つの譲歩案をアメリカに提案した日本は戦争準備を完整させつつも、アメリカが『輸出を再開しよう』と言ってくれるのを待ち望んでいました。



そんな日本に返された返答は、『一般協定 オーラル・ステートメント』。

俗に言うハルノートでした。


このハルノートが戦争の直接の引き金になったのは周知の通り。

ハルノートにある要求の一つ『日本軍の中国大陸からの即時撤退』ですが、この中に満州を含むのか?という問題がありました。



もしも満州が含まれるならば日本としては到底受け入れられませんし、含まないならばまだ幾らかの交渉の余地はあったはずです。



アメリカのコーデル・ハル国務長官が起草した段階では、『満州は含まない』と明記されていました。

ところが、のち採用されたハリー・ホワイト起草案ではこの文面が削除されています。


余談としてハリー・ホワイトは、戦後にソ連のスパイであったことが発覚し自殺しています。

このハルノートの中に、ソ連の意図が少なからず存在していたことは十分考えられるのではないでしょうか。




11月26日、ハルノートを受け取った日本は、まさに絶望し誰もがもはや戦争する他ないと考えたそうです。アメリカは外交による平和的解決の意思がない、と。


同日、択捉島の単冠湾に集結していた日本海軍機動部隊が、ハワイの真珠湾を目指し出港。



永野修身・海軍軍令部総長は『例え敗れても戦った意思さえ残る限り、我らの子孫は再び立ち上がる』と言い残しています。

日本とアメリカ、彼我の野国力差を考えれば勝ち目は露ほどもないことが分かりますから、絶望的な戦いになることは予感していたのかもしれません。



また、外交妥結に失敗しもはや戦争する他ないことを陛下に報告した東條首相は、涙したと言います。




ハワイへ向かう日本機動部隊に、1208『ニイタカヤマノボレ』という打電が打たれました。

これは予定通り真珠湾攻撃を実行せよという命令であり、すなわち対米開戦を意味しました。


ニイタカヤマ=新高山とは台湾にある、富士山より高い山のことを指します。現在は玉山と呼ばれていますが、この山を登れとはつまり巨大な米国と戦いを始める、ということを示したのかもしれません。


ともかく日本は、大日本帝国は、中国との戦いを続けつつもアメリカ・イギリス・オランダなどの連合国と戦いを始めるという、極めて危険な賭けに出たのでした。





聯合艦隊司令長官の山本五十六中将の訓示

『皇国の荒廃 この一戦にあり 各員一層奮励努力せよ』とは、かつて日露戦争のとき聯合艦隊司令長官だった東郷平八郎中将が、日本海海戦のときに行った訓示です。






日本軍のハワイ作戦、いわゆる真珠湾攻撃。
水深の浅い真珠湾での雷撃(魚雷攻撃)は見事に成功、爆撃も相まってアメリカの戦艦は次々と沈みました。


停泊中とはいえ、多数の戦艦が航空攻撃によって沈んだというのは世界に衝撃を与え、航空機の有用性が見直されています。




しかし製油所などは無傷、更にのち海戦の主力になる空母は日本の攻撃前に真珠湾を退避しており、日本の最大の目的であった『アメリカの戦意を挫く』ことは完全に失敗。

戦争は本格化していくことになりました。





ちなみに、退避した空母エンタープライズらをもし、この時沈めることができたら、後ミッドウェーの歴史も変わったかもしれません。












不手際による日本が意図しない『宣戦なき攻撃』になってしまったことをアメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトは最大限に利用。

外交暗号を解読して日本が戦争を決断していたことを知りながらそれを隠し、アメリカ国民の前で白々しく

『我がアメリカは平和を望んでいたのに、卑劣なジャップは突如攻撃を加えてきた!』と宣言。



日本の攻撃に激怒したアメリカ国民は一転して戦争支持へ移り変わり、アメリカの念願だった第2次大戦への参戦は、見事に果たされました。



真珠湾を忘れるな!Remember Pearl harbor!!

という言葉をスローガンとして、アメリカ国民は意思の統一を図っています。



○○を忘れるな!というのはアメリカにとっては実は常套手段で、アメリカ建国後に幾度か繰り返されてきたやり方です。敵の攻撃を焚きつけ、戦争する正当性を得る。

近年でもイラクが大量破壊兵器を保持している!といってイラク戦争を始めたのも似たような理由です。



手段の是非は置いといて、アメリカ得意の敵の攻撃を誘って戦争介入を図る、そのやり方に日本はまんまとはまってしまったのでした。













日本は大陸の権益守ろうとする一方、必死で共産主義のアジア波及を阻止していました。

私が常々思うのが、もしもあの時代アメリカに【理性】があれば、以下のことが理解できたのではないか、ということです。



①日米共に共通するのは共産主義の波及阻止である

②日本はファシズム、ナチズムどちらにも傾倒しておらず、民主主義に何ら敵対するものではない


ところが、目先の欲に目が眩んだアメリカは、ソ連の望み通りに日本を潰しました。

日本が斃れた後、戦前心配されていた通り、中国大陸は瞬く間にアカに染まり、朝鮮半島も真っ赤に染まらんとする状況になったのは、さもありなんでしょう。



そして中華人民共和国朝鮮民主主義人民共和国という、二つのならず者国家の建国。

この二つの国は、ソ連が消滅した今現在でも世界平和を脅かし続けています。



現在、中国に手を焼くアメリカですが、これは結局70年前のツケが回ってきているだけにすぎないのです。