こんにちは

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最近、朝晩涼しくなりましたね~

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熱燗がさらに美味しい季節になりました

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先日、相続に関するご相談のなかで、遺留分の放棄についてのご説明する機会がありました。
実際にご説明させていただくのは、初めてでした。
そこで、今回は、遺留分の放棄について、書いていきたいと思います

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1、遺留分とは??まず、前提として、
遺留分とは、相続の場合に、兄弟姉妹以外の相続人が必ず保障される一定割合(民法1028条)の相続財産をいいます。
例えば、相続人の一人が全財産を相続するという内容の遺言があった場合でも、
他の相続人は、遺留分減殺請求という請求をすることによって、
遺留分が保障されることになります。
2、遺留分の放棄ができる場合(1)このような遺留分は、相続人の個人的な請求権ですので、本来は、自由に放棄できるはずです。
しかし、
相続開始前の遺留分の放棄を無制限に認めると、周りに強要されて、自分の意思に反して、遺留分の放棄がなされる可能性があります。
そこで、遺留分の放棄を強要される等の事態を避け、遺留分制度が骨抜きにならないように、
民法1043条1項は、「相続の開始
前における遺留分の放棄は、
家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。」と規定しました。
(

相続開始後の遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けなくても、自由に放棄できます。)
民法1043条1項を受けて,家庭裁判所が遺留分の事前放棄を許可するか否かの家事審判手続を行われます(家事審判法第9条第1項甲類39号)。
(2)家庭裁判所の許可の基準では、家庭裁判所は、どのような場合に許可するのでしょうか?
この家庭裁判所の許可基準は、①~③の三点であるといわれています。
①遺留分を有する相続人の自由な意思に基づくものであること 実際に、家庭裁判所の審判で、相続人に、遺留分の放棄の意思があるか、確認されます。
②放棄の理由に、合理性・必要性があるか 例えば、農地や建物の所有者が多数人になることを防止したり、相続人の一部の方が会社や個人経営を継ぐ場合に、会社の株などの財産を後継者に相続させる場合などの理由が必要になります。
審判例として、申立人の両親が申立人の結婚に反対し、結婚を止めなければ両親の財産を与えることができない旨をかねてから主張していたが、申立人が結婚をすると決めたので、両親は用意していた遺留分放棄申立書を取り出し、申立書に署名捺印させたという事情がある場合、家庭裁判所は、結婚問題に関する強度の干渉の結果と言わざるを得ず、合理的理由がないとして不許可にしたものがあります(大阪家審昭和46年7月31日)。
③放棄と引き換えに贈与等の代償が存在するか 放棄と引き換えにする贈与などは、先にされるか、同時にする必要がある傾向にあります。
審判例として、非嫡出子である申立人に、5年後に贈与をするという約束の下で、遺留分の放棄の申し立てをした場合に、このような贈与は現実に履行されるかたやすく予断できないから、許可すると思わぬ損害を惹起する恐れがあるとして不許可になったものがあります(神戸家審昭和40年10月26日)。
3、遺留分の放棄の効果遺留分の放棄が許可された場合、どういった効果が生じるのでしょうか?
(1)遺留分の放棄により、相続開始前は遺留分が消滅し、相続開始後は
遺留分減殺請求を主張できないという効果が生じます。
もっとも、遺留分を放棄した人は、相続開始後、遺留分減殺請求ができないだけであり、
相続人である事に変わりありません。
(

この点は、相続開始後の相続放棄(民法939条)とは違います。次の項を参照してください。)
→①遺留分を放棄した人の遺留分を侵害する内容の遺言がなければ、放棄した人は、通常どおり、相続人として相続することになります。
よって、
遺言がなければ、遺留分の放棄は、実質上、何の効果もないことになります。
②遺留分を放棄しても、相続人であるから、借金などの、負債は法定相続分で負担することになりま す。
(2)遺留分を放棄しても、他の相続人の遺留分に影響を及ぼさず、増加しません(民法1043条2項)。
4、遺留分の放棄と、相続の放棄の違い遺留分の放棄と相続の放棄の違いは、主に、2点あります。
(1)遺留分の放棄は、相続開始前に家庭裁判所の許可を受ければできるのに対し、
相続の放棄は、相続開始前にはできず、相続開始後にのみ、家庭裁判所に申述(民法938条)することによりできる。
(2)遺留分の放棄は、放棄後も、相続人であるのに対し、
相続の放棄は、「初めから相続人とならなかったものとみなす」(民法939条)とし、相続開始のときから相続人でなかったものとして扱われます。
5、以上のように、遺留分の放棄は、相続開始後、遺留分を放棄した人は遺留分減殺請求をすることができなくなるため、円満に、家業や農地を承継させる手段としては、一つの方法だと思います。
もっとも、たまにですが、「遺言書いても、後から、少なくなるけど、何か(=遺留分)言えるんちゃうん

」
「それ、後から何も言われへんようにでけへんかな~

」といった内容のことを耳にします。
もしかしたら、親子などの間で、仲違いをした場合に、一切の相続財産を渡したくない!!とか、もらいたくないからその証拠として放棄する!!とかの手段に、この制度が利用されることも、あるのでは・・と思われます。
(家庭裁判所の審判で、明らかに無理強いしたものなどは、許可されないという歯止めがあると思われますが・・)
この遺留分の放棄については、家庭裁判所に許可する旨の審判を申立てるものなので、申立手続きは行政書士の仕事ではありません。
だけど、このような親子などの間で感情のもつれがある場合に、相続関連のご相談を受けた場合、どのように対応したらいいのか、法律を使って仕事をする者として、難しい問題だと思いました。