ネーデルラントの画家、ピーテル・ブリューゲル(Pieter Bruegel)
〔1525/30年頃~1569年〕の版画と絵画が好きです。
宗教画だけでなく、風景画・風俗画についても、宗教的寓意・教訓が
含まれており、非キリスト教徒である者には、わかりにくいところもある
のですが、彼の銅版画(下絵の素描を制作)と水彩・油彩画は、画面の
隅々まで、細密に描き込まれ、見るたびに新しい発見があり、興味が
尽きません。
また、彼の仇名は「百姓ブリューゲル」というのですが、特に、農民の
生活を描いた版画からは、農民に対する温かい眼差しが感じられます。
<夏> 1568年 228×287㎜ ベルギー王立図書館
彼の版画については、昨年(2010年)夏、東京渋谷Bunkamura
ザ・ミュージアムで、「ブリューゲル版画の世界」展が開催されました。
この小さな展覧会では、全ての作品が版画で、モノクロの世界でした。
一方、<十字架を担うキリスト>という油彩画があります。
<十字架を担うキリスト> 1564年 124×170㎝ ウィーン美術史博物館
この絵を元にした「ブリューゲルの動く絵」 というポーランド・スウェーデン
合作映画が、今年(2011年)12月17日(土)から、渋谷ユーロスペースで
上映されています。
10月26日(水)に、第24回東京国際映画祭、特別招待作品として、
1回だけ上映されたものの一般公開です。
16世紀当時、フランドル地方は、スペイン・ハプスブルグ家によって
経済的に搾取され、宗教的な圧迫を受けていました。
ブリューゲルの理解者・作品の収集家ニクラース・ヨンゲリンクは、
この有様を絵に描くよう、ブリューゲルに注文します。
ブリューゲルは、風車の回るフランドルの風景の中に、十字架を
背負い、ゴルゴダの丘へ歩むイエス・キリストの受難を描きました。
この映画は、フランドルの長閑な風景を再現し、絵の中の登場人物
を生き生きと動かして見せます。
「まるで絵の中に入り込み、絵画の世界を旅するような新しい
絵画体験が味わえる体感型のアートムービー」と謳っているように、
実際、見る者は、不思議な感覚に襲われてしまうのです。
映画プログラム表紙(原題は「風車と十字架」)



