カッターを手にもって
こんなもので手を切ったら痛いだろうなと思った。
この年になり、自分が如何に人の言葉をそのまま信じてしまうのか
騙されやすいのかを改めて知った。
随分と時がたち、私はもぅ充分に一人の人間として生きていけると思ってしまったんだ。
実は、本当は、誰かの支えがあってのことだったんだけど。少しだけ調子に乗ったのかもしれない。
いつの日からか、空は高く青く冷たくいつも私を見下ろしていた。
私は海の底から一生懸命あの空に向かって手を伸ばし続けてきたんだ。
あの深い藍色の空。
あの空に手を伸ばしてやっと、生きる事を信じられるようになったのだけど
私しは、手を伸ばし続ける事を辞めてしまった。
こんなに悲しい別れはあるのかな。
今も消える事のない、私の空。
また見上げたら宇宙の彼方までありそうなあんなに深い青さを知りました。
私はまだ地べたに座って、泣きながらあの空を見上げている。
涙がでてくる。
絶対的な正しさを私に教えてくれた人。
笑顔、声、あの日々
病院の病棟に来た日のことを覚えている。
こんなところにいてはいけないって、私の手を取ってそのと世界に連れ出した人。
生きる事を放棄して、目を閉じて全てを拒絶していたのに、私を立ち上がらせて歩くことを始めさせてくれた人。
あの頃、あなたが私の全てでした。
今も引き出しをあけると、あの頃の私が、まだしゃがみこんで泣いている。