岸本先生の書

我々はどこから来たのか。我々は何者か、我々はどこに行くのか。

「フレディ」から学んだこと　読了

たくさんの心に残る引用がある

「うらをみせ　おもてをみせて　散るもみじ」　良寛

西田幾太郎は良寛の生き方を自分の生き方としている

あるがままを天然自然の真理に自分を任せるということ

クリスチャンにとっては「神にゆだねる」ということだろう

「父に死なれてみて、初めて私は父と言う1枚の屏風で、死から遮られていたことを知ったのである。父の死は、死から私を遮っていた屏風が除かれたことであった。父に亡くなられて、私は初めて自分の行く手に置かれている死の海面を見た。死と自分との間がいやに風通しが良くなって、妙に寒々とした感じである。」

「亡き父のこと」井上靖著

これまでぼんやりと感じていたことはこういうことだったのかと霧がはれたような感覚

父と息子、母と娘という関係の中にあるこの感覚

父は65歳で他界したが、その時には死というものはそれほど近く迫って来たという記憶がない。

若かったということもあるのかもしれないが・・

しかし、この頃思うのは、早くに母親と死別した人に比べて、死というもが遠い所にあるように感じているということだ。

それが最近、その死から遮られている屏風が揺らぎ始めていることに気づいたということなのかもしれない。

「私何だか死なないような気がするんですよ」と言った宇野千代さんであっても98歳で亡くなっている。

母は来月97歳、いよいよ施設での生活が始まる。残り時間がどんどん少なくなっていく。

「悩まない時には、人は自分自身をほとんど考えない。自分が存在してることを感じるのは、ほとんど健康でない人だけだ。健康な人は、哲学者でさえも、生命とは何かを探求するよりも、生を享楽することに没頭する。それらの人たちは自分が存在してることに驚くことはほとんどない。

健康はわれわれを外の事物に連れていき、病気は我々を我々の内に連れ戻す。」

これはフランスの哲学者　メーヌ・ド・ビラン（私は知らないが・・・）の言葉だそうだ。

なるほど、病気が与えられるということの意味は、その人の人生をより深く味わいのあるものにするために、神から与えられたギフトなのかもしれない。まだまだそうは思えないけれど・・・・。

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