- ビデオ・メッセージでむすぶアジアと日本 [ 神直子 ]
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ワタシも会員になっているNPO法人「ブリッジ・フォー・ピース(BFP)」の代表、神直子さんの著書です。
学生時代にフィリピンを訪れて、第二次世界大戦中日本人に家族を殺された人の訴えを聞き、衝撃を受けた神さん。社会に出てからも、戦争について調べ続けます。
「ビデオ・メッセージでむすぶ」というのは、身近な人を大戦中に失ったフィリピンの人たちのメッセージ、彼らにとっては加害者である元日本兵のメッセージを録画し、互いの国で上映すること。話すことで、観ることで、人々が変わっていきます。
神さんの並々ならぬ熱意と、優しく温和な人柄が信頼につながり、元日本兵が家族にも話したことのない過去を話し始めます。いやはや、すごい人です。病気の療養中にかかってきたフィリピンからの電話の件でも、彼女がいかに深い信頼を得ているのかが察せられます。
やわらかな文章から、戦争は、関わる人すべてに何一つ良い事をもたらさないということを、深く、深く感じさせられます。「戦争はおそろしい」と言う、そのおそろしさがどのようなものか、これまでの想像とは桁外れのものを見るかもしれません。
学校の歴史の授業では、近現代は3学期の最後の方で触り程度の尻切れトンボに終わってしまうことがほとんど。ワタシも大切なことを知らぬまま大人になってしまいました。BFPでは、様々な世代の人が語り合えるワークショップ、学校への出張ワークショップも行っています。この本には参加者の声もたくさん紹介されています。
今年は戦後70年。日本は70年の間、不戦であり続けました。近隣の国との関係もぎくしゃくし、何やら不穏な空気が漂うこの頃ですが、この本から、戦争のことを調べたり、考えたりしてみませんか。この本を読みながら、幾度となく涙が出ました。辛い涙もありましたが、圧倒的にあたたかい涙の方が多かったです。人と人との理解や信頼の可能性を信じられる涙です。