父と最後に会ったのが、いつかと問われれば
最後の1時間を過ごした、ICU個室のガラス窓越し。
その前の週に、状態悪化で活気と意識が下がったので
面会に来た方がいいと病院からの連絡で
同じくICU個室のガラス窓越しから
おとうさーん!と呼びかけたり、手を大きく振ったり。
看護師さん達は、聞こえてると思いますよと言ってくれ、
父もまだ顔や目を、こちらの方に向けたり、体を動かしたりしていた。
ただ、私の呼びかけで反応するという感じもなく、目が合う感じでもなかった。
(後から写真を見たら、こちらを見ている感じだったけど!)
そういう意味でも、最後にお互い顔を、目を合わせたのは
病院搬送され、エレベーターで病棟に移動するときに
初めて父を直接間近で会ったというか、見たのが、最後だ。
私は何を話しかけたか覚えていない。
1分にも満たない時間だったし、お父さんと呼びかけただけの気もする。
その時に、父は、もともと目が大きいほうだし、
痩せてますます目が大きく感じられたのかもしれないが
大きく目を開いて、瞬きもせず、じーーーーっと私を見ていた。
家に帰って、旦那さんに
なんか、おとーちゃん、チョコボールのキョロちゃんみたいやったわ〜と話したなぁ。
本当にそんな感じで、なんか可愛いなぁと思ったなぁ。
その時は、低ナトリウム血症という状態で、即入院という異常低値で
調べてみると、それくらいの値だと意識混濁になると。
なので、何を言うわけでもなかったし、
私が誰か分からなくなってたのかなぁ、と思っていた。
亡くなった今、父の最後を思い出すと
あの時のエレベーターで、じーーーっと私を見ていた父の顔が、目に浮かぶ。
その時は、病院側もまさかコロナ感染や悪化するとも思っていなかったようだし
実際、私が届けた書物や手紙も読んでいたようなので
父もそこまでとは思っていなかったとは思うが
悲しそうな顔でもなく、苦しそうな顔でもなく
(なんせ、キョロちゃんみたいな可愛らしさすらあったのだから!)
嬉しそうでもなく、怒っているでもなく
ただ、静かに私を見ていた。
今思うと、何を語るわけでもなかったが
父の万感の思い、万感の眼差し、私へのお別れだったと感じている。
