読書の秋なので本を読むようにしています。
積読を片付けてるともいえます。
「感想」ネタバレも含む。
もし読もうと少しでも思う方は、読まないほうがいいです。
読みにくいかな~と思ったら全くその逆。ぐいぐい読めました。
まずすごいのは、登場人物たちが、私のように想像力の無い人でもちゃんと想像できるようにできてる描写の秀逸さ。そしてその描写の必然性。
翻訳物で違和感がほとんどないというか、感じさせない翻訳者がやはりすごいのかもしれない。噂通りだぜ柴田元幸よ。
いつも翻訳物で感じていた「翻訳物だな~」という感覚がなかった。ちゃんと文化的にわからない背景とかには注釈もあるんだけど、全体的にスムーズ。自然なのでした。
お話も奇想天外で偶然が偶然を呼ぶ物語で、実に「小説らしい」んですが、それも自然。ありえなさそうなことでも自然でこれみよがしではない。
でも、それもこれも今の年齢、今の心境で読むからなのかもしれないんだけどね。
主人公のMSが肉親を亡くしてからホームレスに至るところでまだ半分に達してないんだけど、この話はどうなるのか?と思いつつ読み進めると、友人 たちのおかげでなんとか生きる気力を取り戻して働くんだけど、これがかぎりなく死に近い老人で、またその老人がとんでもなくて、その老人がなくなり、次に 知り合うのはこれまた稀に見る巨漢。途中から恋人も出てくるけど、恋人とのアレコレよりも叔父さん、老人、巨漢とのやり取りが濃密です。
「やっぱ作り話だよ、小説だよ」といわれそうな
小説だからこその人生の困難さと再生が繰り返されていて、
また人との縁も小説じゃない、そんな偶然というところだけど、
この年齢になると、小説のような偶然が頻繁に起きていることを知ってるので
「奇想天外な小説だったな~」と終わらせられないのです。
生きていること、孤独であること。
主人公と彼に関わる人たちの人生で描かれるそれらがギリギリなところまでいって、私たちにどういうことなのかを見せてくれている気がします。
この人の自伝じゃないの?と思えるくらいリアルさがあるんだけど、違うらしいけど学生時代の思い出がベースになっているらしいから、そうした実在のものと想像力が見事にマッチした話なんだろうな。
タイトルは実在していた中華料理屋さんらしいんだけど、「月」のイメージがあちこちに効果を出している。
あと、自分以外の感覚を得ようとすることはとても難しいのですが・・
つまり私が前の図書館にいて「カビ臭い」と耐えられなく感じていても他の職員は全く気付かないという事態のことなのですが、
私の感覚は私だけのものなので、わかってもらおうとしても完全には無理です。
逆に、私も誰かの感覚になんてなってあげられないのです。
でもこの小説では、たった一人の肉親を失ったMSがどうなってしまったか、
ホームレスの暮らしが進むとどうなるのか
盲目であるとはどういうことなのか・・
人の目を気にせず生きることがどういうことなのかとか
小説らしく、想像力を大変刺激するエピソードが満載なのです。
積読を片付けてるともいえます。
「感想」ネタバレも含む。
もし読もうと少しでも思う方は、読まないほうがいいです。
読みにくいかな~と思ったら全くその逆。ぐいぐい読めました。
まずすごいのは、登場人物たちが、私のように想像力の無い人でもちゃんと想像できるようにできてる描写の秀逸さ。そしてその描写の必然性。
翻訳物で違和感がほとんどないというか、感じさせない翻訳者がやはりすごいのかもしれない。噂通りだぜ柴田元幸よ。
いつも翻訳物で感じていた「翻訳物だな~」という感覚がなかった。ちゃんと文化的にわからない背景とかには注釈もあるんだけど、全体的にスムーズ。自然なのでした。
お話も奇想天外で偶然が偶然を呼ぶ物語で、実に「小説らしい」んですが、それも自然。ありえなさそうなことでも自然でこれみよがしではない。
でも、それもこれも今の年齢、今の心境で読むからなのかもしれないんだけどね。
主人公のMSが肉親を亡くしてからホームレスに至るところでまだ半分に達してないんだけど、この話はどうなるのか?と思いつつ読み進めると、友人 たちのおかげでなんとか生きる気力を取り戻して働くんだけど、これがかぎりなく死に近い老人で、またその老人がとんでもなくて、その老人がなくなり、次に 知り合うのはこれまた稀に見る巨漢。途中から恋人も出てくるけど、恋人とのアレコレよりも叔父さん、老人、巨漢とのやり取りが濃密です。
「やっぱ作り話だよ、小説だよ」といわれそうな
小説だからこその人生の困難さと再生が繰り返されていて、
また人との縁も小説じゃない、そんな偶然というところだけど、
この年齢になると、小説のような偶然が頻繁に起きていることを知ってるので
「奇想天外な小説だったな~」と終わらせられないのです。
生きていること、孤独であること。
主人公と彼に関わる人たちの人生で描かれるそれらがギリギリなところまでいって、私たちにどういうことなのかを見せてくれている気がします。
この人の自伝じゃないの?と思えるくらいリアルさがあるんだけど、違うらしいけど学生時代の思い出がベースになっているらしいから、そうした実在のものと想像力が見事にマッチした話なんだろうな。
タイトルは実在していた中華料理屋さんらしいんだけど、「月」のイメージがあちこちに効果を出している。
あと、自分以外の感覚を得ようとすることはとても難しいのですが・・
つまり私が前の図書館にいて「カビ臭い」と耐えられなく感じていても他の職員は全く気付かないという事態のことなのですが、
私の感覚は私だけのものなので、わかってもらおうとしても完全には無理です。
逆に、私も誰かの感覚になんてなってあげられないのです。
でもこの小説では、たった一人の肉親を失ったMSがどうなってしまったか、
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