舞台「レベッカ」の感想というか、涼風さんのことしか書いてません。
もちろんネタバレです。


実は全然期待していませんでした。
話の筋や原作も読んで、とくに心惹かれるものはありませんでした。
涼風さんが出ているし、梅芸でやるし、みておくか・・という程度。
芸文でやってる加藤君の「罠」を蹴ってきてよかったのか、と思ったりして・・

ところがどっこい、すぐに「ああ~見に来てよかった」とすっかり虜に。幕間があっという間だった。


カナメさんが、私の大好きなカナメさんだったのです。
もう「レベッカ」でも「ダンバース夫人」でもなくカナメさんを見に来ている私。
宝塚時代からのカナメさんを愛している人なら見るといいと思います。


あまりにもあまりな感想なので反転します。

カナメさんとは妖精・パックで出会い、堕天使・悪魔・メフィストフェレスや老人のオットーなど宝塚の男役らしい役よりもちょっと異端な役をする彼女が特別好きでした。退団してからの好きな役は「あずみ」の美女丸であり「エリザベート」ですが、これに「ダンバース夫人」も加わりました。
上記の通り、私はカナメさんが人間以外のもの、あるいはいびつな人間を演じることで、魅力が増すと思うのですが、ダンバース夫人でも改めてそれを確信しました。

亡くなった女主人を異常なまでに崇拝し、いまだに仕えるダンバース夫人の狂気と哀しさが歌に乗せられて、すっかり彼女の世界に浸りきっていました。カナメさんの存在にひれ伏します。

低音を響かせて(友人いわく梅芸でよく響いていたとのこと)、レベッカへの復活を願い続けて歌う声は男役時代と同じで、美貌も衰えておらず、本当に美しい。黒衣が似合う。横顔が好き。
役柄としては、前述のメフィストとコーヒー農園で仕えるジュリオとちょっぴり美女丸を足して3で割ったイメージ。
ダンバース夫人は女性なんだけど、顔だけ見ていたら、男役で令嬢に迫っていた迫力を彷彿とさせて、ちょっと倒錯的なんですよ~

もう20年前にカナメさんと出会い、すっかり宝塚ファンになってしまったのわけですが、相変わらず私はカナメさんの魅力にノックアウトで、どこまでもつれてかれてしまいます。凝りないな~変わらないな~と自分でもあきれる。
レベッカをとことん神格化し愛し、いまだに生かし続ける執念と、私がカナメさんを崇拝し、何度も恋しちゃう、全然違うけど、どこか盲目的なところは似ているかもしれません。

レベッカに対する愛は、主従、親子、同性愛、そういうところは演出の先生に注文されたらしいので、レベッカのガウンに頬ずりする場面などでうかがえますけど、いろんなものを内包しつつ、本当に絶対の存在なんでしょうねえ。
何度も「レベッカは男など相手にしない」と強調していたので、まあ同志なんでしょうねえ。

原作読んでいてよかったな~と思ったのは、そういう見るべきところを見られる準備ができてた。
「わたし」を仮装パーティーで陥れるためのアイデアを授けるところ、「わたし」に手を握られて侮蔑的な表情とか、そしてそれが実現したところの表情。
「わたし」を追い詰める場面とか、どうなる?ととても楽しみにできたし、実際、とても怖くてよかったです。
レベッカの影をマンダレイのお屋敷に色濃く残し、生前と変わらない生活をして保っていた精神の均衡も、「わたし」によって壊れてしまった最後のお屋敷とともに消えるカナメさんの表情や眼もとてもよかったです。

楽曲もよかったし、涼風ダンバース、これなら私はリピートしたいですよw
グラスでカナメさんばかり追っかけていたので、他の人たちがどうしているのかよくわからないのでシルビアダンバースも見るといいかもしれないけどね。涼風ダンバースを見に行ったら、絶対に他はみないね。断言。
かなり空席が目立つらしいのですが、世間と見方が違ってますね~(笑)

役柄上仕方ないけど、カテコでも無表情で手を振るカナメさんが面白かったわ。

関西では何度もピーコさんが「恋愛したい人、これから恋愛する人に見てもらいたい。一皮向けると思います」とテレビCMが流れています。
ピーコさんのおすすめと全然違う見方しているな。