夫の不倫相手ユキ子に出した慰謝料請求の内容証明は、
10月28日、ユキ子の手元に届くことなく返ってきた。
私が持っていても仕方ないので、普通郵便でユキ子に送った。
慰謝料の払い込みの期限は10月31日だったが、
当然払い込まれることなく11月になった。
最も効果的な方法は何か、次の一手を模索していた。
そんな折、どこからか娘が夫の古い携帯を見つけてきた。
2008年3月まで使っていたもので、ユキ子との不倫が始まる前のものだった。
しばらく充電して、起動させる。
まだユキ子との不倫が始まる前で、子供がいなかったときの携帯。
私たちは、けんかもしたが、関係は概ねうまくいっていた…はずだった。
メールの送信ボックスはすべて消去されていた。
でも受信ボックスの中に、「じゅり」という女性からのメールが59通残されていた。
出会い系で知り合ったばかりから、関係を持つまで6日。
じゅりは、祖母と母が入院中なので、「サポ」してくれる男性を探しているとあった。
太目の、お世辞にも美人とはいえない冴えない女性の写真があった。
夫に問いただすと、住んでいる場所が遠いので1回しか逢っていないと言い訳した。
5000円か1万円渡したと言う。
メールは残っていなかったが、電話帳に女性の名前がたくさん残っていた。
結婚後も夫は常に出会い系サイトを利用していて、
数人の女性と逢っていたと白状した。
ユキ子のように何度も逢っていた女性はいないらしい。
出会い系サイトで相手を探し、安易に体を売る女と、それを買う男。
私には、そういう人々の気持ちが理解できない。
夫に罪の意識はない。
私は、結婚したこと自体、そして自分そのものを否定された感じがして、
頭の中が真っ白になった。
子供が生まれたとき、すでにユキ子と不倫していたが、
夫は妊娠した頃も、出会い系を利用していた。
仮に今後離婚しても、子供には愛し合って生まれた子だと言いたかった。
でも、そのとき愛情を持っていたのは、私だけだったのかもしれない。
夫の根の深い裏切り行為に、怒りを覚えた。
話し合いの結果、夫は今後一切浮気をしないと約束したが、
この男を心から信用できる日は、決して来ないだろう。
「性欲をコントロールできない人間は身を滅ぼすよ」
私は夫に言った。
このことを、ユキ子にも言ってやりたかった。