2月9日(土)のことです。
~最期の時を自分らしく生きる~という副題の
”がん”を知るフォーラムに行ってきました。
ノンフィクション作家の柳田邦男先生が、
「豊かな生と死を考える」と題して講演をされました。
柳田先生の講演をお聴きして
人は、最後の最後まで輝くことができるのだと知りました。
病を引き受ける中で、
意図せずして美しく輝ける言葉を発する人々の存在には神々しささえ感じました。
柳田先生のお話は初めてお聴きしましたし、恥ずかしながらご著書を読んだこともありませんでした。
講演前に会場で精神科医の香山リカ先生との対談本『シンプルに生きる』を購入したのですが、
講演をお聴きして柳田先生が翻訳された絵本を2冊購入しました。
それらに先生がサインと一緒に次のような言葉を書いてくださいました。
読むことは 生きること
絵本は 人生の 心の友
幼い子の涙は 全人類の悲しみより 重い
このフォーラムは、在宅の緩和ケアを考える会だったようで、
講演の後の「自宅で看取るということ」と題されたシンポジウムでは、
お医者さん、看護婦さん、ケアマネージャーさん、
そして奥様をご自宅で看取られた82歳の方の発表がありました。
柳田先生は、患者家族として発表されたこの方のお話を聴くことができただけでもここに来たかいがあったと話されました。
本当にこの方の発表は、新しい生き方を提示してくださいました。
在宅ケアのネットワークの中で、たくさんの方々に見守られ、ご夫妻がお幸せな時間を過ごされたことがよくわかりました。
そして、奥様が亡くなられた後もご主人は、このネットワークの中で活躍されておられます!
マイナスであったはずの奥様のがんが、残されたご主人に素晴らしいギフトを置いていってくれました。
私は今まで、もしがんになったら自分も家族も緩和病棟にお世話になろうと考えていましたが、こんな風に過ごせるシステムができているのなら在宅緩和ケアもいいなと思いました。
余談ですが・・・
講演の中では時間がなく割愛されましたが、
シンポジウムの中で、柳田先生は、
小林麻里さんの「福島、飯館 それでも世界は美しい―原発避難の悲しみを生きて―」を紹介されました。
「それでも世界は美しい」は、『夜と霧』の著者フランクルの『それでも人生にイエスという』に通ずるのだと。
この本は発売当初、かっこちゃんのメルマガで紹介されていたのですぐに買い求めて読みました。
「自分が壊れそうな危機の中で、自分を保つために」書き続けた日記が基になっているというこの本には、麻里さんの、亡くなられたご主人や住めなくなった飯館村への思いが溢れています。
彼女が願っていることはただ一つ、ご主人の魂の宿る飯館の森と家で暮らしたいということだけ。
それなのに福島第一の原発事故は、それを許しませんでした。
毎週末に帰る飯館の我が家で、田んぼや家の裏の池で小さないのちたちを見つけて喜ぶ彼女の姿はとても印象的です。
たくさんの出会いの中に、人間の気高い姿が描写されていてとても感動しました。
お勧めしたい1冊です。