Lightning Builderのブログ -2ページ目

Lightning Builderのブログ

ブログの説明を入力します。

孵化作業が始まってから早くも二週間がたち、七月に入った。
「…失礼します」
俺は水槽に目をやる。
稚魚が2匹、元気そうに泳いでいる。
しかしだな、これ…。
「…終わるわけなくね?」
この稚魚は孵化した個体ではない。
二週間前に受け取った個体だ。
他の班の水槽でも二匹の稚魚が泳ぎ回っているという、デジャブな光景が広がっている。
成長させることから始めなければならないってどうゆうことなの…。
一応、例の湯川草由来の餌を与えているので早く成長すると思うが…。
「まあ先はまだまだ長いでしょうけどがんばりましょうよ。」
天海先輩は湯川草を稚魚に与えている。
俺以外の生徒は薬の効果を把握していないのでただ先生を信じて与えているってわけか。


----------------------------------------


翌日。
俺は、いや、全俺…じゃなくて、全メンバーが驚愕した。
なんと昨日まで稚魚だった鯉達が…
成体になっていたのである。
「おおっす。おお、流石俺の薬草だぜ。」
先生はまたしてもポケットからメモ帳を取り出した。
恐らく『二週間で成体に。』と書くのだろう。
「よし、じゃあ早速孵化作業に入るか。」
え?排卵日は?
「先生、鯉は人と違って年中発情期ではございませんが。」
紅林先輩が口を開く。
クールな口調で何を言い出すんだこの人は。
「心配無用だ。あの薬草は媚薬的な効果もある。」
それだけで卵産めるのか?
ここらへんの語彙の弱さは筆者のボギャブラリーのせいです。
「それじゃあ各班、配置に付け!」

孵化作業といえば自転車であるがもちろんそうではない。
今まで通り育てるだけ。
一応、卵は水温の高い別の水槽に移すことになっている。
それにしてもすごい地味だなぁ。


--------------------------------------


「いやあ、すごいね。」
月野先輩が水槽を見て呟く。
あれからさらに二週間が経ち、夏休みも目前に迫っていた。
期末テストとか色々あったけど。
テスト編とかやっても面白くないじゃん。
今、4班の水槽には30匹の稚魚がいる。
いくら水槽といっても、産まれない卵はある。
命の儚さを知った。
こいつらも夏休み中には成体になっているのだろう。
そこで気づく。
夏休み中にも餌をやったり水槽の水を替えたりしなければならない。
つまり、休み中にも登校しなければならないということだ。
「…はあ。」
「何でため息ついたんですか?」
天海先輩が俺を心配したのか聞いてくる。
今にも『幸せが逃げますよ。』って言われそうだ。
「…何でもないですよ。」



地道に短くなっていく(泣)