明けましてもう一か月になります。今月は詠んだことは詠んだのですけれど、あまりポジティブな気分にはなれない中での句作が多かったのでした。伸び悩みといいますか、きちんと勉強できていないことの弊害を大いに感じていました。

 

 

 

 自撰

賀状でも判決文の書式かな

 

1/2

店もあと二年と義父の屠蘇語り

墓建つを言い含めらる門の松

賀状でも判決文の書式かな

 

正月句。

 

1/5

冬外套にローズマリーを剪りし香

新春の庭クーペにチャイルドシート

初仕事飯屋にキース・ジャレットか

 

1/6

冬晴れや坂東山の囲みしか

重機唸り肩身の狭き枯芒

六日晴れカラーコーンの列ぴしり

淑気とは一千五十ミリバール

寒の入り弁当屋まで九十歩

 

この、5日、6日あたりなんていうのは新年だからと、前年金曜句に撰ばれたこともあって実に気分よく詠んでいましたね。

 

1/10

枯田五里霞みて低く長恨歌

凍て風や伐株のみの柿畑

片手ずつ仏花とヤッケのポッケの番

 

知人の家族にご不幸。

 

1/14

歳旦も寝坊お隣干さる服

 

元旦を振り返って。

 

道真忌令和ご利益定員制

 

1/16

ポイントの切り替え音ぞ冴ゆる駅

 

1/20

せめてもの訳を教えてくれよ皸

寒の雨自分では変へられぬこと

大寒の気温はぬくし日は曚し

百辺の叛意も凍る風一吹き

いく月か凍らば凍れ池のうを

俎板か氷室か選べ池の鯉

春隣とはなんなのだ零下五度

 

とあることで憤懣やるかたない日の連作。

まあ、たたきつけるようにといいましょうか。

 

日脚伸ぶ学舎よりイン・テラ・パックス 

ピザ生地をミスった日脚伸ぶるかな

この風は大雪だろう越後では

ちょっと落ち着きを取り戻して三句。

 

1/23

雲千斗ゼリー寄せする大寒波

 

まるでボジョレー・ヌーヴォーの宣伝文句のようなX年に一度の~(気象現象)ですが、今年は本当に寒かった。

 

1/25

建築屋トラックで飯さむき朝

 

もしかしたら、工務店、とか、大工サン、とかのほうが優しい響きだったのかもしれませんが。男くささを狙ったが、読む人によっては厳しい言い方に聞こえるかもしれません。

 

通勤路追い立てちゃった寒雀

足冷たたまさかなりし金曜句

 

これはすなおな感慨。

 

1/26

冬夕焼に富士進捗は以上です

ヌンクヴィノペッリテクラスとびきり燗

 

私、冬夕焼多いな。

二句目はnunc vino pellite curas (ホラティウス)今は酒で悩みを吹っ飛ばせ から。わけのわからなさを狙ったが、当たったか外れたか。たぶん外れたな…

 

1/31

星近し顔に北風五メートル

 

ことしもどうぞよろしくお願いいたします。