なにかふと触発されれば句作が増え、そうでなければ減るというような波はあるものなのでしょう。相変わらず俳句の勉強は全くできていませんが。

 

 自撰

アクセルを踏むや吐息は白し朝

 

11/1

洋式の百鬼夜行や六日月

 

ハロウィンの半ばひがみ俳句のようなものでしょうか。

 

11/3

鯖雲の見下ろしている一人酒

秋霞先行研究五十本

この胸に虫千匹や神送

 

駅へ歩きながら一句。電車に乗りながら一句。一句は家で。

 

11/6

日暮れまでの冬隣とて父庭へ

肩凝らむ夜長の今宵までならじ

鳴交喙金色伽藍の覆堂 (なきいすか)

言うものかso schönなど秋の果 (Verweile doch! Du bist so schön!(Faust)

占地のみ安し祖母の背いや丸く

 

 明日が立冬、と思って不意にいろいろ詠みたくなったのでした。

 

11/7

立冬の朝古ピアノの匂いふと

畳む児の服立冬の月の暈

 

 

11/8

疾く寝よとみな天狼を筆頭に (深夜)

万障を繰り合わせての炬燵寝ぞ

神の留守定規で結び損ねたる

草の卵蟷螂枯るに膨れてや

月読もかくれをりたり冬蝗

赤銅の時ならぬ冬三日月や

月読に白す白すと綿虫の

 

この日は皆既月食でした。

 

11/9

見送ってまたくるまった布団に香

 

11/11

椎の葉に冬立ち空の彩度かな

燗酒や独語を聞いており喧噪

 

11/12

もう冬だそうですそろそろ散りましょか

寒犬の黒黒として窓明り

冬花火である砲声ではなくて

肩叩く音高かりし落葉かな

歩くとは生きることなり初時雨

美酒はそぞろ歩きのつもりで冬珊瑚

脊柱のくぼみ滑らかだね霰

 

11/18

初霜や紅茶が徹夜の友だった

 

11/19

星の入東風高枝を黙々と

 

11/20

燗酒や電源オフぞ脳も手も

 

11/22

小雪は凱風腰はましなほう

 

11/28

アクセルを踏むや吐息は白し朝

 

11/30

霜月を拭き納めたる流し台