食器洗いをしていると

おたまに勢いよく水が跳ね返って

水びたしになることがある。


「水遁❣️水びたしの術❣️

わたしは生きてるあいだに

あと何回 “おたまのことを考えるんだろう。




とりあえず、

おたまは横に置いておいて、

好きなことに想いを馳せよう。


高校生のとき好きだった先輩は

いまどこにいるのだろうか


はじめて付き合ったあのコは

いまどこにいるのだろうか


はてさて、どうやって過去が実在したと言いきれるだろう。

それらが本当に起こったことだと

だれが確実に言いきれる?


未来にして言えば

10年後のわたしは

今のわたしの気持ちを

わたしは憶えているだろうか?


はじめておたまを洗った日、

食器を洗った日はあったかもしれない。

いつのことなのかすでに忘れている。


水道から水が流れてゆく。

こうして、

生命の流れが何もかも洗い流してゆく。


食器洗いの流れる水の音を聞きながら

おぼろげな意識の中で

わたしにありがとうと言ってくれた人たち


いまあの人たちはどこにいるのだろうか

なつかしさに想いを馳せる





解説 :

すべては必ず宇宙に記録されている。

恋が結ばれた日、恋が終わった日。

出会いと別れが手をつないで来る、春の日。