7年後。
 
扶貴はウェディングドレスに身を包んでいた。
 
今日は真人との結婚式だ。
 
鏡に映った自分の姿を見ながら扶貴は5年前のあの日を思い出していた。
 
 
 
あの時・・・
真人が初雪をつかもうとした時、扶貴はつかんでほしくないと思った。
ずっと一緒にいたいと思った。
 
 
真人がもう少しで初雪をつかもうとした時だった。
 
木枯らしがいたずらをした。
初雪が真人の手から逃れるように、扶貴の手の中に入ったのだ。
 
 
扶貴はその瞬間願った。
 
 
-ずっと一緒にいたい-
 
 
 
その夢は叶えられた。
 
 
そのすぐ後、真人は父親の病気のためにオーストラリアに行けなくなってしまった。
 
そしてずっと扶貴と一緒にいた。
それはこれからも変わらないだろう。
 
 
扶貴は小さくつぶやいた。
 
-ごめんね。でもありがとう-
 
 
 
 
                終わり